第6回「音屋のkatsu」の音楽あるある〜音楽祭編〜

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コラム
今回はいつもの「音楽あるある」シリーズとさせていただきます。

前回のアルバイトの件や、バンド活動に明け暮れる高校生活。
この時代、私の地元のバンド仲間は学校・学年問わずに仲がよかったです。

そんなバイトとバンドに明け暮れた高校三年生のある日。

誰ともなくこんな話が出てきました。

「なぁ、せっかくだから高校生活の集大成として音楽祭やりたくないか?」

当時、まだ街が今ほどシケた感じではなく
楽器店やスタジオが数件ほどあったんです。

地元の老舗のスタジオに用がなくてもほぼ毎日のようにタムロしていた私達。

そんな話が出てきても不思議ではありません。

バンド仲間:「誰か、やってくんねぇかなぁ・・・。」
私:「そうだなぁ・・・。」
バンド仲間達:「・・・・・・・。」
私:「・・・・ん?」
バンド仲間達:「お前、やってくんない?」
私:「えっ?俺が?」
バンド仲間達:「そうだ、そうだ。お前が一番適任だって!」

そうこうしているうちに担ぎ上げられた私・・・。

他のバンドマンはほとんどが進学校の生徒達で、比較的暇(失礼な!)な
私と私の学校の仲間達を中心にとうとう「音楽祭」を開催する事になり…。

スタジオのオーナーが全面的にサポートをすると言う話の下、
次第に話が大きくなっていきました。

オーナー:「とりあえず、費用としては50万円は最低でもかかるから!」

そんな大金、もちろんあるわけありません。

親に話した途端、金の大きさにブチギレる両親。

オーナーの提案として、パンフレットを制作する。
その際に「広告を掲載して広告料をもらう」と言う戦法を取ると言うもの。

その前に、その広告を集める為の前段階の予算が必要でした。

私達が考えたのは、一人一人から500円ずつ「保証金」として集める方法。

その徴収したい事を各高校のバンドマン全員に報告し、
決まった日にスタジオに招集するといったもの。


普通、そんな話誰も信じないと思いますよね?

私も部外者だったらそう思っています。

招集の日。そんな奇跡の様な事が起きたんです。

その日に限って、私達の高校は社会実習の為隣の県に行って遅れて来ました。

いつもの中心街を抜け、急いでスタジオへ向かいます。

ん?何やら黒山の人だかりが。

商店街に面したスタジオの周りに数百人の人だかりができていました。

私達はそのバンドマンの群れを掻き分け、スタジオに入ります。
スタジオの中も「鮨詰め状態」でバンドマンが溢れかえっています。

そうです。
市内各学校のバンドマン達が他のバンドマン達にこの「祭り」を呼びかけた
結果、ものすごい人数の高校生が押し寄せたんです。

市内一の進学校の仲間が私を呼び話し始めました。
天才:「みんな本当に集まってくれてありがとう!
    えぇ〜、これから大会長から大事な話があるから聞いてくれ!」
私(バカ):「ん?大会長?・・・・俺!?」

そうして事の次第を説明し、一人ひとりに署名と五百円を拝借。
集まった金額は集まった金額は約10万円。
大体200人近くの高校生くん達が同じ「夢」を叶えようとしていたんです。

私:「ありがとう。本当にありがとう!絶対、祭りやるから!」

この資金を元手に、実行委員会を立ち上げ各自仕事を割り振りし、
市内の高校生くん達と一緒にスポンサー周りに走り出しました。

結果、広告費として約80万円が集まりました。

資金、計画、後ろ盾、全てが順調とはいきませんでしたが「音楽祭」は
結果として私の地元の「歴史」に名を残す事ができました。

「音楽祭」は成功。収支の一部は自治体に寄付をさせていただきました。

それから数年間はこの「音楽祭」が高校生の手で行われる様になりました。

進学校の「天才」はこの件の疲労により一年浪人生となってしまいましたが、
彼曰く…
天才:「あんな事、二度と出来ないと思ったから俺は何も後悔はしていない。
    俺は幸せ者だよ。」
と今では語ってくれます。マジでいい奴(涙)

天才君は天才の名に相応しい大学に入学、
その後は個人事業主兼プロミュージシャンになりました。
地元では聞いた事がない人はいないくらいのCMソングなどを手掛けております。

今後もこの時のバンドマン達が話に出てくると思いますが、みんな何かしら
「業界」に携わっている者が多いと思います。

天才の言う通りですが、今の時代にあんな事はできないだろうなぁと
私も思いますし、多分今の若い人は「今のやり方」で楽しい事ができるのだと
思います。


ちなみに余談ですが。

ブチギレた母親は偶然「音楽祭」でのテレビインタビューに出演。
私に投げかけた罵倒が嘘の様に「満面の笑み」でテレビに映ってました。

このやろうが!


音屋のkatsu


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