これまでのコロナの状況は抑圧的といえるものでした。
しかし今年のGWは行動制限もなく開放感がやや感じられたからか、
芸能人の自死報道が重なり、とても胸の痛む思いです。
TVを通じて親しみを感じていた方が
逝去されるというのは皆さんにとっても
とてもショックなことだったのではないかと想像します。
長い人生において私たちは様々な喪失を体験します。
とりわけ大切な人を死によって失うストレスは
とても高いことがわかっています。
喪失したという事実は決して元に戻ることはなく
同時に私たちの生活、人生を否応なしに
以前とは違うものに変えていきます。
一方、私たちはそれを受け止め
前に進む力も持っています。
■喪失体験後のこころの状態
大切な人を失った際、私たちはどのような反応が
出てくると思いますか?
想像しやすいのは「悲しみ」かと思います。
しかし、喪失体験には悲しみ以外の様々な
感情が生じることを知っておいてください。
<感情の例>
・失ったことへの悲しさ
・なぜ話してくれなかったの?という怒り
・何もしてあげられなかったという無力感
・誰も分かってくれないだろうという孤独感
・実感がわかないという無感覚(非現実感)
・これからどうなるのかという不安 など・・・
この例を見ても分かる通り私たちの反応は千差万別です。
一見悲しい様子がなくても、また何も感じていなくても
それは変なことでも、間違ったことでもありません。
皆さんなりの心の反応があるため、
「悲しんでいないから薄情者だ」など思ったり
指摘するのは間違いです。
また人によっては、
不眠、食欲不振、疲労などの症状も出てくることがあります。
たいていは1~2週間程度で少しずつ緩和してきますが、
それ以上続く場合には、専門的な先生(カウンセラーや医者)に
相談することを強くお勧めします。
■グリーフワークという癒しの形
死別など深い悲しみを乗り越える作業をグリーフワークといいます。
悲しみを乗り越えるプロセスはエネルギーが必要です。
周囲の支えも大切なエネルギーとなります。
1人で抱えず、身近な方でもいいので気持ちを共有し、
1人にならないようにしましょう。
また様々に湧き出てくる感情を否定せず
認めていくことが大切になります。
早く元気になれ、しっかりしなさい
といった励ましは有害です。
時には泣くことも大切であることを
自分も周りも理解することに意味があります。
数週間から長くて数年、
亡くなった方に心が囚われることもあります。
しかしこれらのことは誰でもそうなる
まったく正常な反応です。
そしてだんだんと
亡くなった人に向けていたエネルギーを
自分の人生を歩むために向けていきます。
お葬式、周忌、お盆、お墓参りなど…
様々な行事が私たちのグリーフワークを
促してくれる側面もあるでしょう。
コロナ禍で芸能人が逝去されることが多く、
一つ一つが大きなインパクトがあります。
今週末は少しゆっくりとした時間を
持つようにしたいと思います。
もしいろんな報道に疲れたと感じる方は
情報から距離を置いて、ゆっくりできる時間を
見つけてみてくださいね。