物事に対して、
「こうすべきだ」「こうすべきでない」
と是非の基準をはっきり持っている者は、
すぐにでも常識的な判断を下すことができる。
でも、場合によっては、そう単純に割り切れないこともある。
例えば、だれが見ても正しい道理を押したてられて、
言葉巧みに誘導されると、
知らず知らずのうちに、
自分の日ごろの主義主張とは
正反対の方向に誘導され、
足を踏み入れられてしまうような羽目になる。
こんな場合は、
無意識のうちに自分の本心をなくされてしまうわけだが、
こんな状況に直面しても、
頭を冷静に保って
最後まで自分を見失わないようにすることが、
「意志の鍛錬」の重要な働きなのだ。
目の前の出来事に対して、
心の中で自問自答をし、
しっかりとした検討が加えられるのであれば、
自分の本心を思い出すことは簡単だろう。
その結果、正しいことを選び、
間違ったことから遠ざかることができる。
このようなやり方こそが、
「意志の鍛錬」ではないだろうか。
「意志の鍛錬」の目標は、
常識に照らし合わせつつ、
実践していくことになる。
こうして鍛練した心で、
物事に臨み、人に接するなら、
社会を生きていく上で、
過ちを犯すこともなくなるだろう。