【文献紹介#2】日本においてCovid-19のパンデミックは交通事故死の発生頻度に影響していなかった(2020年1月~9月)

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こんにちはJunonです。
本日公開された研究論文の中から興味のあったものを一つ紹介します。
出典
タイトル:Trends in deaths from road injuries during the COVID-19 pandemic in Japan, January to September 2020
著者:Shuhei Nomura, Takayuki Kawashima, Daisuke Yoneoka, Yuta Tanoue, Akifumi Eguchi, Stuart Gilmour, Masahiro Hashizume
雑誌:Inj Epidemiol
論文公開日:2021年1月18日

どんな内容の論文か?

「日本においてCOVID-19のパンデミック期間中に道路交通活動は減少したが、交通事故死を減少させることは無かった。そのため全死亡者数がCOVID-19のパンデミック以前と比べて変化が少ない理由について、交通事故死の減少で説明することは出来なかった。」

背景や結論

日本においてCOVID-19パンデミックが全死者数に与える影響は欧米に比べて少ないと言われている。つまり、例年と比較して全死亡者数は変化していない。COVID-19が全死亡者数に与えた影響を検討するのは難しい。なぜならば、COVID-19により直接的にお亡くなりになった数、COVID-19により間接的にお亡くなりになった数、または減少した数を死亡原因別に相殺する必要があるからである。
本研究では、日本におけるCOVID-19のパンデミック期間中に交通事故死が減少したかどうかを検討した。そのため、日本の緊急事態宣言中に道路交通活動が減少したが、その期間の交通事故死が例年に比べて少なかったかどうかを検証した。対象期間を2020年1月から9月とした。実際に、2020年の人の移動量や主要国道の交通量は平年より減少しており、特に4月7日に緊急事態宣言が発令された後の4月と5月に減少は大きく、それぞれ約3割減っていた。
調査の方法は2010年1月4日から2020年9月6日までの交通事故の日次公開データを取得し、日毎に予想される死亡者数をシミュレーションし、緊急事態宣言中の実測値が予測値よりも高かったかを評価した。
その結果、COVID-19のパンデミック期間中の全年齢の交通事故死者数は、日本の平年と比較して数週間でわずかに減少していたが、有意なものではなかった。
例年よりも少なかった週は4月6~12日、5月4~10日、7月20~26日、8月3~9日であったが、顕著な減少は認められなかった。

最後に

交通事故死亡者数に影響を与えていなかったが、その発生状況は例年と違う可能性があるが、その点は今回の研究では評価されていなかった。
今後も様々な視点で、COVID-19のパンデミックがもたらした社会的影響を調査する必要がある。

おしまい。
次回の記事をお待ちください。

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