こんにちはJunonです。
今回から研究論文をピックアップして紹介したいと思います。
本日公開された研究論文の中から興味のあったものを一つ紹介します。
出典
著者:Ciara Tierney, Despina Bazou, Giao Lê, Paul Dowling, Peter O'Gorman.
タイトル:Saliva-omics in plasma cell disorders- Proof of concept and potential as a non-invasive tool for monitoring disease burden.
雑誌:J Proteomics
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論文公開日:2021年1月16日
どんな内容の論文か?
「唾液中のFABP5濃度は多発性骨髄腫(MM)患者で疾患の進行度に応じて上昇する。そしてMGUSとMMの鑑別に有用である。」
背景や結論
一般的に病気を検査するためには血液が用いられますが、これは患者さんの負担を伴います。今回唾液を用いたことはこの負担を軽減出来ることが画期的です。(スライド1)
これまでに唾液を用いた検査ではいくつかの癌で上昇することが報告されていました。(スライド2)
多発性骨髄腫(MM)は世界で2番目に多いリンパ系癌で、多くの場合治療抵抗性を示します。
通常の免疫機構では、Bリンパ球(形質細胞)は抗体を産生して病原体に対して攻撃をします。しかし、MMの場合はBリンパ球の増殖が過剰となり、異常なほどの抗体(M蛋白)が産生され、体に対して悪影響を及ぼします。(スライド3)
またMMの前症状としてMGUSという前悪性型の状態があります。MM患者の93%は診断前にMGUSに関連したMタンパク質産生を示しますが、前悪性型から悪性型への移行についての診断は一般的に難しい(骨髄生検など)とされています。
今回の研究では、この前段階であるMGUSよりも悪性型のMMにおいて有意に唾液中のFABP5濃度が上昇しており、MMを高精度に診断可能であることが示されました。(スライド4)
自作スライド
最後に
このように非侵襲的な生体試料で診断可能なバイオマーカーの探索は今後も期待される研究ですね。
おしまい。
次の記事をお待ちください。