最後の最後まで・・

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コラム
次女は、無理を承知で希望する会社に出向いた。
「社長と直接お話しさせてください。」
後日、「会社面接に来てもいい」という知らせが届いた。
子供の頃から、カメラを持って肉眼で見る世界とは違う日常を撮影していた次女 同じ仕事に就くなら、自分の得意を生かしたい。
面接日、会社に行くと大卒ばかりの人々。高校の制服を着ているのは次女一人
それでもひるまず、写真への熱意と自分の可能性を訴えた。
内定が来た。大卒とは給料が大幅に違うが、初の高卒採用。
同期はみな、年上ばかりだったが この世界は実績を残す人が這いあがっていく。最初に与えられた仕事は、コールセンターと営業。
その時次女は、私に言った。
「小さい頃は、正直ママが口うるさいと思っていたの、電話の取り方。来客への対応。洗面所やトイレ・お風呂を使った後の次の人が使うことを考えての配慮の仕方。とにかく、また言ってる・・としか思わなかったけど、社会に出て初めてわかった。私たちが小さいころから言われてきた、当たり前のことが
大卒の人でも出来ないの・・電話対応もため口で話す人もいるし、相手を怒らせる人もいる。ママが伝えたかった事、教えてくれた事は決して無駄じゃなかったって 今になって感謝してるよ。」そう言ってくれた。
仕事も人の何倍もの速さで作業した。コンテストにも応募し、新人賞も多数頂いた。業績は社内トップを維持。それを見ていた同僚の人たちが、直接社長に話してくれた、「高卒でも、大卒以上の仕事をしているのにお給料に差があるのはおかしいです。」それを聞いた社長は、大卒と同じ給料にしてくれた。

父親との生活は相変わらずで、そこに兄が同居。
父親は療養に来ている長男にも容赦なく、「家に住みたいなら、家賃・光熱費等のお金を入れる事、家事は俺が決めた当番制でやること」を言い放った。
父親の家事分担は、会社に行く前に洗濯機を回す。。ただそれだけ。
朝は自由出勤、帰りは定時の5時。父親として十分家事は出来る。
長男は生活費を入れるため、大学時代にアルバイトをしていた会社に行った。
長男・次女とも朝早くから夜遅くまで働いて帰ってくる。
それでも、「今日の飯の当番はお前だろ!洗濯物が干してない!」など子供たちを追い込んだ。 長男から電話が来た。「俺、お父さんと暮らすの無理だわ、気が狂う。お母さん、よく我慢してきたね・・一緒に暮らし始めて1か月だけど、また一人暮らしする。建築会社はやめた。今アルバイトに行ってる会社の社長がうちに来て働いてもいいと言ってくれている。実力主義の会社だけど、頑張った分だけ給料は増えるから、家を出るけど・・・妹が心配なんだ。
一緒には連れていけないけど、お母さんの弟、おじさんの所に住めないかな・・横浜だし、職場からそう遠くはないし・・ダメかな・・」
弟夫婦には子供がいなくて、横浜駅近くのマンションを購入して二人暮らし
「一度聞いてみるね。」そう言って話を進めた。
弟夫婦は「いつでも来ていい」と言ってくれた。

兄妹それぞれ違う場所だけど、家を出ることを父親に伝えた。
あの人から出た言葉は「出ていきたいなら、お前に貸している車のローンまとめて返せ。次女には、この間家の車使ったときバンパーに傷をつけただろう。その修理費を出せ。」次女には覚えがなかった、車を使ったがこすったりぶつけたりはしていない「私じゃない!」と言い張ったが、父親は「お前が使った後に傷があるからお前だ。バンパー一式交換するから10万払え。出ていく条件はそれだ。」次女と長男はバンパーを確認したが傷らしい傷はない。かすかに何かがこすれた跡はあるが、交換するほどではない。。次女はある程度貯蓄はしてあったが、アメリカに行くための定期預金にしていた。
長男のローンは約80万残っていた。勿論お金などない・・
私は、細々と貯めていた100万を子供達に渡した。これであなた達が自由になれるなら、またママは頑張るから。そうして、子供達は父親の元を離れた。
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