ココロ

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姉の家での生活は、穏やかだった。「何もしなくていいよ。今はゆっくりしなさい。」そう言ってくれる姉に甘えさせてもらった。
それでも、しなければいけない手続きは山ほどあって 一つ一つ自分で動くしかなかった。氏の変更は迷ったが、次男の親権があの人にある以上 安易に変更はできなかった。年金手続きは、後に大きな落とし穴があることに気付かず
役所の言う通り進めた。
食費や家賃を払っていない分、家事は出来る限りのことはしていたが
日が経つにつれ、やはり居心地が悪くなっていた。

仕事を探さなきゃ・・そう思っていた矢先、100年の歴史がある老舗写真館での受付の仕事の話が来た。募集内容は土日のみ、朝10時から夕方5時まで 年齢40歳まで、簡単なパソコン入力、接客ができる明るい人。。まず、年齢でアウト・・それに、人と接するのは怖い、でも働くしかない。ダメもとで面接に行ったら、即採用された。土日の仕事に向け、平日は出来るだけ心の平穏を保った。 大袈裟かもしれないが、男性恐怖症・対人恐怖症にとって受付という仕事は、自分との戦いだった。 初日はわからない事ばかりで、22歳の上司に散々怒られた>< 半月もすれば、段々と慣れてきて 元々持っていた性格が仕事の時だけ顔を出し、1か月も経たないうちに大幅に売り上げを伸ばした。
社長のお気に入りになるには、時間がかからなかった。
それとは裏腹に平日の自分は完全に崩壊。月曜日から水曜日にかけほぼ動けず
木曜・金曜で何とか持ち直す日々。頂いたお給料から、わずかな食費と家賃を姉に渡した。

姉の家では、毎日甥っ子と次男の友達が遊びに来る。リビングでゲームをしながら遊ぶ子供たちを眺めながら熱い紅茶を飲むのが、しばしの癒しだった。ソファーで漫画を読んでいる次男に友達が言った。「なあ、お前の家どこにあるの?」 次男は漫画を見ながら言った。「ないよ。」友達は少し驚いたように続けて言った。「じゃあさ、おまえのお父さんは?」 「いないよ。ママもいない。法律上ではパパはいるけど、関東に住んでるし 俺放置されてるし、ママはそこにいるけど法律上ママじゃないんだ。」 友達は不思議そうに私を見てそれ以上何も言わなかった。次男は漫画から目を離さなかった。何とも言えない感情が込み上げてきた。12歳になったばかりの次男の心も傷ついている。  

次男の学校行事は、できるだけ体調を整え参加した。
ある日、参観日に学校に行くと 階段の所に次男の版画が展示されていた。
その版画を見たとき、涙が止まらなかった。
お母さん蛇のお腹あたりには、4匹の子供の蛇がいた。
小さいながらも、ずっと見てくれていたんだ。「ママは僕が守る」そう言ってくれた次男。この子の為にも、早く自分を取り戻したい。そう願った。
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