楽しみの多様化に高齢者施設はどうしていくのだろう

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コラム

パソコン・スマホありきの時代

10月のイベントにハロウィンがあります。

現在私は40代ですが、私の子ども時代にも10代の頃にも、もしかしたら20代の頃にも浸透していなかったイベントで、
10月に主だったイベント事がなかったこともあったのか、日本のコスプレ文化とハロウィーンの仮装がうまいことリンクしたのか、いつの間にか浸透、定着化してたよね?というあまり馴染みのないイベント行事だという感じです。

その比較的新しいイベントのハロウィンを、私が勤める特別養護老人ホームではハロウィンレクレーションとして取り上げていますが、なんか、どうなんだろうという気持ちです。

職員が仮装して、ご入居者様におやつを配って、わいわいもぐもぐして終了。
70代から100歳を越える方が対象年齢で「今日はハロウィンだから仮装してお菓子を配って楽しみます」って、しかも華やかに仮装するのは職員だけ。

40代の私からしても、コスプレには興味ないしハロウィン仕様のインテリアにも興味がないし、晩ごはんくらいかぼちゃ入れとこっかな程度のもので、どう楽しんだらいいのか馴染みのないイベントに、
「今日はハロウィンだよ」と問いかけたところで、果たしてどれだけの高齢者が「あら楽しみね」と理解があるか疑問です。
もはや、誰のための行事なんだか分かりません。

私が捉えているハロウィンは
好きな仮装して非現実的な空間や時間、いつもと違う自分を楽しむことにあり、
それに加えて子どもならお菓子もらえるから嬉しいな、だと思っているので、
施設のハロウィンレクレーションは端から見ると、職員が仮装を楽しみたいだけなんだろうなと感じています。

私だったら、ハロウィンに費やす時間、バルコニーで日向ぼっこさせてもらったり、施設のお庭をお散歩させてもらった方が嬉しいです。

人との交わりなく密にもならないのだからコロナに感染することもありません。閉鎖的な空間から抜け出し、外の空気と太陽の陽射しを感じることは、どんなレクレーションよりも優るような気がします。

とはいえ、日常とは違うわいわいとした日を楽しめ、いつもとは違うおやつを食べることができて嬉しいと思う入居者様は多くいるので、
ハロウィンという内容はともかく、楽しめる機会があるというのは良いことです。


さて、高齢者施設におけるイベント行事、レクレーションといった、生活の楽しみとなる部分ですが、今後、ご入居者様に合わせて変化していかなければならなくなるな、と感じています。

高齢者施設において、みんなで何かをするという集団生活のスタイルや、
施設の職員と入居者のみといった閉鎖的な人間関係ではなく、
施設にいながらにして外部との関わりを保つことができるSNSなどの楽しみを保持・尊重していく、
そんなフェーズに切り替わる時がくるのでは?と思っています。

Facebookが仮想空間に注力すると打ち出し、本格的なバーチャルの世界がくるかもしれないなんて、なんだかまだピンとこないのですが、
リアルよりもバーチャルを楽しむことを志向されるような人達も増えていくかもしれず、施設側も時代に合わせていくのに苦労するだろうなと感じてしまいます。

これから高齢者となる方々は、ほとんど全ての方がパソコンやスマホを扱うことができます。
普段から個々の興味や関心といったことが、手元で簡単に満たされていることが当たり前の生活をしています。

SNSというツールを使うことは統一化されているものの、そこからの楽しみは個人により多種多様であり、個人の自由度が増しているだけに、

これから高齢者となる方々は現在の高齢者のように、カラオケやトランプやビンゴゲームといった楽しみをひとつに収めるといったことができにくい年代です。

自由度が増してそれに慣れきってからの、施設で集団生活となると、適応するのは大変のではないか?とも思います。


しかし、実際のところ、特別養護老人ホームは要介護3以上の方が入居できる施設であるため、認知症がなくパソコンが使える方となると少数だと思われますし、
施設の方針にもよりますが、パソコンやスマホの持ち込みは何かとトラブルになると考えられるため、できれば持ち込んで欲しくないとの思いは共通していて上手に断るのだろうなと思っています。


そんな個人の楽しみが多様化する中で、食事の楽しみは比較的変わらないのかなと思うところです。
お正月のおせち料理はなくなり他のご馳走に変わる可能性もありますが、クリスマスも敬老の日も時代に関係なくお祝いムードになりそうです。
いつもと違うちょっと豪華で美味しい食事を食べることは、いつの時代もどの人にも共通して楽しめることのように感じています。


この先「ネット環境整っています」との売りで施設運営していく高齢者施設も出てきそうな感じもしますが、個人情報がめいっぱい収められている現代人のスマホやパソコンの管理となると、やはり様々なトラブルが伴うのではないかと思います。

願うのは施設のお世話にならず、自宅のパソコンやスマホのツールをうまく活用して、日々を楽しみながら自立した生活を最後まで送ること。
多様化していく楽しみに対応しやすい場は、結局のところ自宅なのだと思います。

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