「底辺の仕事ランキング」を巡る議論ときれいごとのコメント
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現在、新卒向け就職情報サイト「就活の教科書」が公開した記事「底辺の仕事ランキング」を巡って白熱した議論が戦わされています。
内容を簡単に紹介しましょう。
同記事では、まず12種類の職業を平均年収とともに紹介し、ついで各職業が底辺職扱いされる理由について述べます。
具体的なランキングは、以下のとおり。
上から「土木・建設作業員」「警備スタッフ」「工場作業員」「倉庫作業員」「コンビニ店員」「清掃スタッフ」「トラック運転手」「ゴミ収集スタッフ」「飲食店スタッフ」「介護士」「保育士」「コールセンタースタッフ」
そして、底辺職の特徴を、(1)肉体労働である(2)誰でもできる仕事である(3)同じことの繰り返しであることが多い ・・・ とし、デメリットについては、(1)平均年収が低い(2)結婚の時に苦労する(3)体力を消耗する等を挙げています。
さらに「底辺職に就かない方法/抜け出す方法4つ」や「未経験でも採用されやすい職種」を紹介。
最後に、「世間一般的に言われている底辺職について解説しましたが、何を底辺職と呼ぶのかは人それぞれです」としつつも、「底辺職と呼ばれている仕事は誰でもできる仕事である場合が多いです」と説明した上で、「底辺職と呼ばれる仕事に就きたくない方は、転職したり、スキルや資格を身に付けることが重要です」と締めくくっています。
当然ながら、この記事に対して、批判が殺到しました。
「就活生に差別意識を植え付けた」、「職業差別を助長する」「世の中の仕事をバカにしてるのはありえない」等々。
こうした指摘を受けて、同記事は削除され、騒ぎもこのまま終息すると思われていたところに、フジテレビの情報番組「Live News イット!」が、「底辺の仕事ランキング」について特集を組み、ランキングに記載されている職業に従事する社員にインタビューしたんですね。
要するに、「あなたは底辺の仕事をしていて、どんな気持がしますか ?」と聞いたわけです。
ううむ無神経にもほどがある。
インタビューを受けた人たちは、「底辺職業というのはすごく残念・・・」、「誰にでもできる仕事っていうのはないんじゃないか」や、
「大変大変っていうところだけをクローズアップしないで、楽しいとか、やりがいがあるって感じでやっている」「悲しいというか、悔しい。私たちも国家資格という資格を持った上で働いておりますので、理解度が上がるとうれしい」(介護士、保育士)と話しました。
これを見て、インフルエンサーや著名タレントが意見を表明したわけです。
たとえば、モデルでタレントのトラウデン直美さんは、「そもそもランキングつけること自体が必要ないと思う。どの職業も必要な場所があって、必要としている人がいる。すごくナンセンスだなって思います」と述べています。
また、俳優で最近はワイドショーでMCを務める谷原章介さんも「凄く上からの目線を感じますし、僕は親から職業に貴賎なしと教わったので、あらためてこういうことを考え直して、そういったブルーカラーの皆さんのこと、仕事に感謝をしたいと思います」と発言。
なるほどねえ、しかし、やはりきれいごとでしかないと言わざるをえませんね。
残念ながら、明らかに職業に貴賤はあります。
谷原さんもトラウデンさんも、自分自身は「底辺の仕事」には就きたくないだろうし、子供にも就かせたくないでしょう。
また、「底辺の仕事」の種類にもよりますが、やりたくてやっている人はそれほど多くないんじゃないかな。
その仕事に付くための資格や条件を始め、給料、労働環境、仕事の内容等、全然違いますからね。
大体、日本の受験戦争は何のために存在しているんですか。
若者たちが死ぬほど勉強し、良い大学に入ろうとするのは、ブルーカラーになるためではないでしょう。
家庭の事情や運、その他もろもろの要素はあるでしょうが、結局、自分が就くことのできる仕事は能力や努力の結果なのです。
「就活の教科書」に話を戻すと、私は、特に「底辺職に就かない方法/抜け出す方法4つ」なんて決して悪くはないと思います。
ただ、説明が充分ではなかった。
問題がセンシティブなので、目測を誤ったのでしょう。
また、単純に「底辺の仕事ランキング」を非難する人たちも、本当に自分の中に仕事についての差別意識がないか真剣に考えてみるべきしょう。
いずれにしても仕事に貴賤がないなんて時代は永久に来ないでしょうが。
では