【外食】閉店予定店舗の立て直し

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ビジネス・マーケティング
これまでサラリーマンとして、足掛け20年従事してまいりました。
店長として店舗オペレーション、原価、人件費管理、集客のための販促などの店舗マネジメントは元より、
メニューの分析から組み立て、新メニューの開発、メニュー版構成などの商品開発、そして講義、調理指導、サービス指導などの研修教育にも携わってまいりました。

店舗で店長をしていたころ、閉店予定店舗を立て直した経験があります。
当時、通期で経常利益が▲10,000千円はあったであろう店舗を、
半年で黒字化させることに成功しました。
なお、その後10年以上その店舗は運営され続けることになります。
では、何をしたのか?という部分を以下に記していこうかと思います。

【ロケーション】

東北一と呼ばれる繁華街(の端っこ)
所謂『夜の街』という場所。昼間は閑散。夜はキャッチや呼び込みが跋扈。
大体が都市中心部から端っこへと流れてくる感じ。
店舗周辺地域へお勤めの方も多いが、郊外からわざわざ『呑み』に来られる方も多い。

【競合】

地元民が集う300席近くある大箱店舗が最大競合。『安い』『飲み放題』『地産地消』
現在は、残念ながら閉店されてしまった模様です…

チェーン店では、だんまや水産、知夢仁程度だったかな…?

【周辺地域】

徒歩1〜2分圏内でメインとなる商店街がある。
百貨店、専門店、飲食店、パチンコ屋、八百屋、ドラッグストア等様々なお店が軒を連ねる。
(人の往来メインもここの通り)
繁華街のメイン通りは、そこから2本入ったところにあり、商店街のと平行に位置している。
徒歩10分圏内だと、県庁、市役所、合同庁舎、オフィスビルが立ち並んでいる。

【客層】

大学生(サークル、ゼミ、研究室等)
サラリーマン層
繁華街同業者
繁華街に『呑む』目的でいらしている方

【状況】

恒常的に経常利益ベースで3桁の赤字。
所謂『経費削減』とばかりに削れるところは前任店長が取り組んでいた模様。
『原価』『人件費』『水道光熱費』『衛生費』
なお、固定費である家賃は、月1,000千円を超えていたように記憶している。(後に家賃交渉で、700千円→300千円程度まで下がるのだが…)
集客のための販促は、店内販促として『平日サワー半額』程度。
社員は前任時代は店長1人。休日は、近隣店舗からヘルプを借りていた。

【QSCAの課題】

Q…クオリティ
『小分け』を徹底
…しかし、何でもかんでも冷凍し、品質を落としていた。
S…サービス
店舗営業としては『受け身』の姿勢。
「呼ばれたら行けばいい」「額面通りの言葉を発して接客すればいい」
声出しも少なく活気がない。
挨拶、とりわけお辞儀ができていない。
C…クレンリネス
『カスターセット』と呼ばれる卓上の醤油、塩、七味、爪楊枝がベタベタ。
「あればいい」「入ってりゃいい」状態。
床はフローリングだが、ベタつきや黒ずみが所々にある。
A…アトモスフィア
店内活気がない分、それなりに落ち着いていると捉えることもできるが、それはあくまでプラスに捉えた観点からのもの。
暗く、どんよりとした雰囲気が立ち込める。
間接照明の電球を外すことで水道光熱費を抑えることを前任が行っていたからであろう。
それと、使っていない席の電気を落としていたからだろう。

【配属後】

取り組まなければならないことは山積。
引き継ぎの際は、「せいぜい閉店させないようにしてくださいね」と嫌味じみたことを前任から言われる。
風の噂では、『持ってあと半年』ということが聞こえてきていた。

【マネジメント】

折角持つことができた店長としての『城』。
半年で閉店させてたまるか!
まずは店舗のP/L(損益計算書)と睨めっこ。
当時はビジネス会計や簿記なんてやってはいなかったけど、
各勘定科目から、何がどれくらいかかっているのか確認。
…ムダは悉く削られている。
発想は至って単純だった。

『売上を上げること』
それだけ。
前任は、ムダを可能な限り削減し、その管理をルーティンさせていた。
だから、そこを堅持しつつ売上を上げれば良い。


【『じゃ、どうするか?』】

①集客
ただ販促をかければいいわけでもない。
当時効果が著しく出ていたホットペッパーの割引目当てでは、『その日暮らし』
『長期的視点に立脚した』販促が必要。
それは何か?

主に取った施策は以下。
・店内名刺交換
・事業所(ショップ)訪問
・E-mail送付
・DM送付
・ポイントカード会員獲得

②QSCA
受け身の体質からの脱却。
接客の面白さ。駆け引き。おすすめ手法。
『主役』はあなたたちですよ、という印象づけ。
・作業の標準化
・常連様ノート
・ゲストチェック
・お迎え、お見送り(お辞儀)
・おすすめ商品
・アイドルタイムの活用
・早上がりをなくすために役割を与え続ける

③社員1人でも休める体制づくり
社員1人自分だけ。
幸いにして、学生時代のアルバイト先の店長やマネージャーが良い見本を示してくれていた。
要は、『休める体制づくり』(店舗運営の手法)を目の当たりにしてきた経験則があった。
会社や立場が違えど、活用、応用をしない手はなかった。

④従業員評価
当時勤務していた従業員は、1年も2年も週に5回シフトインしてくれているにもかかわらず、全く昇給されてない状況があった。
大義名分としては、
『店舗売上が未達だから』
『店舗が赤字だから』
要は会社が求める売上や利益数値と逸脱しているから、従業員評価は上がりませんよ、と。
結局、売上や利益数値でしか判断されない。
従業員にとっては『こんなに頑張っているのになんで上がらないの?』となる。
頑張りが評価されないことは、自分のこと以上に余計に悔しく感じる。
却下されても良いから、店舗の数値良し悪しにかかわらず、昇給させてもらえるように申請を上げ続けよう、と。
これも、学生時代にアルバイトしていたガソリンスタンドのマネージャーのやり方を模倣した。


【経過】

就任初月に売上前年比122%、経常利益もプラスとなる。
2ヶ月目は、売上前年比98%。
100%行かないことで、公休日に休んでることにすら文句を言われる。
3ヶ月目。12月の繁忙月。過去最高売上、最高利益を出す。
4ヶ月目。新年会シーズン以降は例年「落ち着く」流れ。でも「落ち着かせず」。売上前年比クリアも経常利益はマイナス。
5ヶ月目。所謂『ニッパチ』と言われ、落ち込みが顕著となる予定。セオリー通りに「陥らせず」。売上前年比クリアも経常利益はマイナス。
この月に店舗の出退店があったようですが、『退店しない』判断が会社から出る。
6ヶ月目。送別会需要取り込み。売上前年比クリア。経常利益プラス。
…12月は日曜日だけ休みましたが、他の月は基本的に普通に公休とってました。

【半年後】

半年で、多少の凸凹はあったけど、半期で経常利益ベースでプラスへの転換を果たすことができた。
日々改善へのPDCAサイクルを回し続けたことが勝因。
閉店予定から、『閉店させない』選択を会社にしてもらえた。
発する言葉は、己の自信の無さの裏打ちで強い口調になることが多かったけど、その分、昇給制度は毎回活用して時給を上げてもらえるようにした。因みに、それ以降も昇給却下されたことはなかったし、逆にもう少し上げてあげよう、と当時の事業部長から直々に電話をいただいたこともあった。
売上を月々クリアし続けてきたら、それなりに印象も変わったのでしょうかね?
20代後半の、知力、気力、体力が充実していた時期だから成せたことだと思ってます。
今、同じことできるか?ってったら、多分できない(苦笑)身体がついてかない…

『じゃ、どうするか?』の部分でもっと深く伺いたい方がもしいらしましたら、メッセージをいただければ、返信等の対応をさせていただきます。

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