営業マン入門「飛び込み営業ができるようになる!」

記事
ビジネス・マーケティング
はじめに
この小冊子を手に取ったみなさん
新入社員の人、管理部門からいきなり営業部門に配属された人、転職して営業を始める人、営業職になって何年も経つが結果が出ない人、基礎からやり直そうと思っている人……。
この小冊子を手に取った事情は、まちまちだと思います。
しかし、みなさんの共通する認識は「どうしたら営業ができるのだろう」ではないでしょうか?
私のことを少しお話しましょう。
「第一営業本部第一部」
新入社員研修後の私の配属先です。
平成五年六月、新人営業マンになった私は、「将来は必ず社長になってみせる!」との想いを胸に抱いていました。しかし、一年半後、精神的に病み、ストレスからお腹を下す日々が続き、体重が激減、身体を壊し、同期のトップを切って退社することになりました。「石の上にも三年」にはならなかったのです。
「営業のやり方がわからなかった」
これが、精神的に病んだ原因です。
新入社員研修の間、自社製品に関する勉強を疎かにしていたため、一人で営業に出かけると、不安で不安でどうしようもありませんでした。
さらに、致命的だったのは挨拶の仕方、名刺の出し方、電話の応対方法など、営業マンとしての心得・基本がわからなかったことです。
どうしたらいいのかと悩む日が何日も続きました。しかし、「いまさら人に聞けない……」と思ってしまった私は誰にも相談できず、自分で何とかするしかありませんでした。
いまでこそ、大口と呼ばれる取引先を獲得できるまでに成長しましたが、苦しんだのは事実なのです! 
この小冊子では、第一章でまず営業マンにとっての基本(心得)を確認します。これは、いわゆる新入社員研修・社員研修・営業研修などで学ぶ内容です。項目ごとに私の経験に基づくコメントをつけました。参考にしてください。
第二章では、多くの人が悩んでいる飛び込み営業について触れています。
そして、最後に、実際に仕事を取るための営業ノウハウを紹介します。
この小冊子は、基礎固めを目的としています。結果を出すためには、まず基礎固めです! この小冊子からまずは基礎固めのための知識を学び、身につけていただけたら幸いです。
                         フランク次郎
目 次
  はじめに             ・・・・・・P1
第一章 営業マン心得        ・・・・・・P7    
(一)訪問先での心得
①身だしなみ(服装)
②挨拶
③名刺を渡す
④名刺を受け取る
⑤部屋へ入る
⑥部屋からでる
(二)社内での心得
   ①電話の受け方
   ②電話のかけ方
③お客様をご案内する
④応接室での応対
第二章 飛び込み営業で度胸をつける! ・・・・・・P19
    飛び込み営業をしよう!
    飛び込み営業の目的とは?
    訪問先はターゲットになりそうな相手でOK!
    飛び込み営業先でするべきこと
    もし、担当者が出てきたら……
    【事例1 飛び込み営業ができなかった新人時代】
【事例2 おそろしい現場訪問】
飛び込み営業の克服法
    飛び込み営業のポイント
第三章 仕事を取る!         ・・・・・・P36
    営業の技術を身につける
    急がばまわれ作戦
    【事例3 風呂場の垢削り】
    【事例4 新規出店店長へ業者を紹介】
    【事例5 厨房機器メーカーの営業マンの話】
    【事例6 お客様の架け橋になる】
    ただの客から気が置けない仕事仲間へ
おわりに               ・・・・・・P48 

第一章 営業マン心得

大会社と呼ばれる社員の人は、営業マナーを学んだ機会があるでしょう。これは、営業マンが身につけておかなくてはならない基本です。
しかし、基本を知らない営業マンは少なくありません。
営業は何よりも経験が大切です。しかし、マナーを知らなければ、無意味な経験を積み重ねているだけで、実績に結びつけることはできません。
いくら基本を学んでも、現場では「マニュアルどおりにはいかない!」こともままあります。ところが、基本を身につけたうえで、経験を重ねていくと、どんなことにも対応できるようになるのです。
まずは、あなたの営業マナーを見直してみましょう。
(一) 訪問先での心得
①身だしなみ(服装)
1 接客・商談中は上着を着用し、ボタンを留める。
2 ポケットのフラップはきちんと出す。
3 風などで乱れた髪はブラシでさっと整える。
「コメント」
スーツのしわや靴の汚れは、通勤前に必ずチェックしてください。他人が見て清潔にみえるかどうかを心がけましょう。
②挨拶
1 自分から、相手に聞こえるようにハッキリと挨拶をする。
「コメント」
          挨拶がきちんとできるかどうか、相手はチェックしています。自分の印象を良くするためにも、挨拶はきちんと相手の目を見て、笑顔で挨拶するように心掛けましょう。
③名刺を渡す
1 名刺入れから名刺を出す。
2 指が名刺の文字にかからないように気をつけながら、親指と人差し指で
  軽く挟むように名刺を持つ。
3 胸の位置(高さ)で相手に名刺を差し出す。
4 会社名と名前を名乗る。
「コメント」
          実際には、基本どおりにいきません。たとえば、「両手で名刺を持つ」のではなく、名刺入れを左手に持ちながら、右手で名刺を差し出すこともあります。また、「相手の差し出した名刺の高さよりも下の高さに自分の名刺を出すのも、お互いが意識しすぎると、両方の名刺の差し出す位置がどんどん下がってしまいます。経験を重ねて適度な感覚を身につけてください。
④名刺を受け取る
1 相手の名刺は受け取るために両手を差し出す。
2 胸の位置(高さ)で受け取る。
3 指が相手の名刺の文字にかからないようにする。
4 「頂戴します」という言葉を添えましょう。
5 名刺を受け取り、着席して挨拶・商談に入る場合、名刺入れは名刺の座布団にする。いただいた名刺は、名刺入れの上に置く。
「コメント」
          相手の名刺を持ったまま歩くときは、胸の高さに持つこと。また、名刺を渡すときと同様、名刺入れを持ちながらお互いが名刺を差し出した場合、両手で相手の名刺を受け取ることができません。左手に持っている名刺入れの上に乗せるように相手の名刺を受け取りましょう。
⑤部屋へ入る
 1 ドアをゆっくりとノックする。
 2 丁寧にドアを開ける。
 3 ドアノブを片手で押さえ、半開きの状態で一礼してから部屋に入る。
 4 ドアの方を向いて両手で丁寧にドアを閉める。
5 相手を見て改めて挨拶をする。
「コメント」
訪問前もって練習しておくと良いでしょう。緊張のあまり、ノックや一礼を忘れてしまうことがあるからです。
⑥部屋から出る
1 ドアの前に立ち、室内に向かって一礼する。
2 ドアを開けて退室する。
3 ドアノブを片手で押さえながら、半開きの状態で一礼する。
4 静かにドアを閉める。
「コメント」
          要件を終えた安心感から、一礼を忘れて退室してしまうケースがあります。気をつけましょう。
(二) 社内での心得
①電話の受け方           
1 ベルが鳴ったら三回以内に電話をとる。
2 ベル四回以上で電話を出た場合には「お待たせいたしました。○○社、××でございます」と応答する。
3 朝の十時半までは、「おはようございます。○○社、××でございます」。
それ以降は「ありがとうございます。○○社、××でございます」と応答する。
          「コメント」
          電話を受けるときの応対は、各社さまざまです。周りの人はどのように電話を受けているかを観察してみてください。感じのよい電話の受け方を見つけたら、どんどん吸収してください。
②電話のかけ方
 1 「おはようございます。○○社の××と申します。恐れ入りますが、△
△様お願いします。」
 2 「いつもお世話になっています。○○社の××と申します。恐れ入りま
すが△△様お願いできますか?」
          「コメント」
          電話をかける前に、要件をメモに書いて手もとに置いておきましょう。落ち着いて先方と会話ができます。
③お客様を案内する
 1 社内では、相手よりも一メートル左前に立ち、案内する。
 2 階段を上がるときは、相手の後ろから案内する。
 3 階段を降りるときは、相手の前で案内する。
 4 エレベーターでは、入って左側の奥が上座の位置となり、案内者が先に
乗る。そして、降りるときは、相手を先に降ろす。
          「コメント」
          お客様と一定の距離を保てるように、歩く速度に注意しながら案内しましょう。
④応接室での応対
 1 座席は、出口に近い席が下座となり、長椅子が上座となるので、お客様
には上座の席をすすめる。
 2 お茶を出すときは、お盆を胸の高さに持ち相手の前で一礼する。サイド
テーブルにお盆を置き、茶たくを両手で持ちながら相手の右側から出す。
          「コメント」
お客様は席をすすめられないと、得てして下座の席に座ります。応接室に入ったら、すぐにお客様に席をすすめてください。


第二章 飛び込み営業で度胸をつける!

飛び込み営業をしよう!
まずは五十軒、飛び込み営業をしてください!
現在、一日一軒も飛び込み営業ができない人は、一日三軒、十七日でやり遂げましょう。五軒の人は、一日十軒、五日で終わらせましょう。必ずやり遂げてください!
ここでのアドバイスは、できるだけ短期間で五十軒を終わらせること。もちろん個人のペースがありますから無理はしないでください。しかし時間をかければかけるほど、虚しさや悲しさ、寂しさで心臓が押しつぶされそうになり、五十軒達成できなくなる可能性があります。
飛び込み営業の目的とは?
五十軒の飛び込み営業を課題としましたが、ここでは仕事を取ることを目的としません。仕事は取らなくていいのですよ(仕事が取れたらそれはそれでステキですが……)。少し気が楽になりましたか?
では、飛び込み営業の目的とは何か?
それは度胸をつけることです。初めて会う相手に対して緊張せずに、緊張しても自分を見失わずに平常心で話ができるようにするのが目的です。
いま、このレポートを読んでいる人の多くが、以前の私と同じように、相手の前に立つと頭が真っ白になり、緊張のあまりまともに話ができない状況に陥っているのではないでしょうか。
しかし、営業職であるかぎり、この壁はぶち破るしかありません! 
ものおじして気おくれしてしまう性格を克服するしかありません! 
考える間もなく、飛び込んでいってください。
短期間で五十軒、飛び込み営業をすることで、まず人と接することに慣れましょう。五十軒もまわると、対人恐怖症がやわらいでくるのです。
訪問先はターゲットになりそうな相手でOK!
「どうやって新規の飛び込みに行けばいいんですか?」と、飛び込み営業のやり方がわからず、切実な思いを抱いている人は少なくありません。
まず、出かける前にあなたの取り扱っている商品やサービスのカタログ(チラシ)と名刺を用意しましょう。カタログがなければ名刺だけでも結構です。そして、会社でもお店でも病院でも個人宅でもあたりかまわず訪問してください。
そうはいっても個人宅に何千万もする医療用機械のカタログ持っていくのは常識外です。訪問先は、あなたが取り扱う商品のターゲットになりそうな相手を選んでください。
本来であれば、訪問先の情報を調べてから営業に出かけるのがセオリーです。しかし、今回の目的は、仕事を取ることではありません。度胸をつけるためです。相手先選びに慎重になる必要はありません。
 おおよそターゲットとなる相手をみつけて、あたり構わずどんどん行きましょう!
飛び込み営業先でするべきこと
はじめに受付に行きます。受付がない場合は入口付近にいる人をつかまえてください。そして、このように言ってみましょう。
「アポイントなしに突然申し訳ございません。○○社の××と申します。△△商品の案内で、ご挨拶まわりしております。ご担当者様におつなぎいただけますか」
受付の前で頭が真っ白になってしまう人は、手のひらにセリフを書いておいてください。そして実行してください。
ほらほら、すでに足が止まっていませんか?
断られることを想像して憂鬱(ゆううつ)になっていませんか?
気持ちは痛いほどわかります。私も以前訪問先の入口付近で、何度も行ったり来たりを繰り返すばかりで、扉を開けることができませんでした。断られることだけを日々想像しては、すくんでいました。でも、行くほかないのです。清水の舞台から飛び降りるよりましですから、思い切って行きましょう。
ただ一つ覚悟してください。担当者と会えることはほとんどありません。
「言われなくてもわかっているよ!」という人は大勢いらっしゃいますよね。
「ただいま、担当者は不在です」「アポイントがないとおつなぎできません」「担当者は接客中です」「忙しいのでお帰りください」など、受付または応対に出る人は、断り文句を身につけていて、営業マンが落ち込むような言葉をスラスラと並べてきます。
しかし、「そうですか、ありがとうございました」とすぐに白旗をあげ、退散しないでくださいね。必ず、次回訪問するための布石を打っておきましょう。
「次はご担当者様にアポイントを取ってからお伺いしますので、ご担当者のお名前とご連絡先を教えていただけますか?」と尋ねるのです。
 そして、カタログと名刺を「ご担当者様にお渡しください」といって置いてきてください。
捨てられてしまうかもしれませんが、それでもいいのです! 
さらに、受付の人にも「失礼ですが、お名刺をいただけますか?」とお願いしてください。受付の人ともコミュニケーションを取りましょう。
もし、担当者が出てきたら……
万が一にでも担当者が出てきた場合、話は手短にします。顔面蒼白、緊張で汗ダラダラ状態の営業マンができることは限られてきます。
「突然で申し訳ございません。○○社の××と申します(自分の名刺を渡します)。本日はご挨拶まわりでお伺いしました。カタログを一部置かせていただきたいのですが(カタログを差し出す)。今後お役に立てることがございましたら、なんなりとお申し付けください。失礼ですが、お名刺一枚いただけますか?」
 この程度で挨拶を終わりにしてください。間違っても商品説明など始めないでくださいね! 仕事を獲得するのが目的ではないのですから。
しかし、相手が商品説明をその場で望むのであれば、話は変わります。そのときは、とにかく落ちついて商品説明をしましょう。

【事例1 飛び込み営業ができなかった新人時代】

 私は学校を卒業後、防炎防火シャッターのトップメーカーであるSシャッター工業株式会社に入社しました。Sシャッター工業とは、ゼネコンといわれる大手の建設会社を主な取引先としているシャッターの製造販売会社です。
私が配属された営業部のターゲットは、新築ビルでした。
新築ビルは、施主(ビルオーナー)が各建設会社の見積った建設費用を比較検討、または競争入札(一番価格が低い見積を出した建設会社が受注)により工事を施工する建設会社を決めます。
そこで、我々シャッターメーカーの営業マンは、まず、新築ビルを建設する予算を立てる積算部へ行き、シャッターの見積りをする仕事をとってくるのです。これを「見積拾い」といいます。
シャッターの見積りを積算部へ提出したあと、今度はその建設会社が新築ビルの仕事を落札したかどうかの情報を入手します。もし、落札していたのならば、今度はシャッター工事の発注をする権限をもっている工事現場の責任者へ営業をかけるのです。 
私が担当したのは、業界では中堅といわれる建設会社でした。中堅といっても、一部上場会社で、どでかいビルに入居しており、必ず受付があるような会社です。そして、どの会社とも過去につきあいがありました。そのため、「長い間、会社同士の付きあいがあるから、簡単に見積させてくれるだろう」と、私はあまく考えていました。
それはとんでもない間違いだったのです。
担当者の異動や注文待ちの営業しかしていなかったために、私が受け持ったときには、取引先との関係は疎遠になっていました。何十年という実績はまるで無意味で、ゼロからの飛び込み営業となんら変わりはなかったのです。
 大きいビルの入口付近まで行くと、とてもじゃないけどビビってしまい、ビルに入れませんでした。次の訪問先の建物の前でも、やはり緊張してダメでした。そんな日々が何日も続きました。
そんな毎日を送っていたのにもかかわらず、私は誰にも相談できませんでした。
会社に帰ると報告書を書かなければなりません。私は虚偽の報告をするしかありませんでした。嘘の報告のストーリーを作るのは大変です。たとえば〔午前十一時に○○建設積算部訪問・挨拶まわり、午後二時××工務店訪問・担当者不在、午後四時△△建設見積部訪問・担当者会議中〕というように記入していくのです。このストーリーを作るのに、山手線にず~っとながら、喫茶店で何時間もお茶をしながら考えました。
しかし、いつまでも嘘をつき通すことはできません。毎日、「担当者には会えなかった」では、営業活動をしていないことがバレるのは時間の問題です。こんな状態がいつまでも続くわけがありませんでした。
そんな私に残された道は二つしかありませんでした。一つは本当に飛び込み営業をして、見積に必要な情報を取ってくる。もう一つは蒸発してしまう。「退職」ではなく「蒸発」です。なぜなら、人事総務部に退職届けを持っていくのに、会わせる顔がないと考えていたからです。「ウソつけ~! 蒸発なんておおげさな~」と私を知る人は言うかもしれません。でも、あのときの私は本当に追い込まれていたのです。当時、親と同居していた私は、「親に恥をかかせたくない」という気持ちから蒸発を思いとどまりました。そうすると、選択肢は「飛び込み営業に行く」しかありませんでした。
本当に追い込まれて、他に選択肢がなくて、悩みすぎて頭がボーっとしたまま、私はD建設会社の受付の前に立っていました。受付では「積算部へご挨拶に伺いたいのですが」といったのだと思います。実は緊張しすぎて、何といったかまったく覚えていません。
しかしながら、どうにか積算部へ通してもらいました。私は、無我夢中で積算部のデスクを一つ一つ回り、挨拶をし、名刺交換したのです。積算資料を持ち帰ることなど考える余裕はまったくありませんでした。
その日の帰りの電車のなかは大変でした。いただいた名刺の裏にその人の顔の特徴などを必死に書き込んでいきました。突然二十人の人に挨拶したので、誰が誰だかわからなくなってはいけないと、記憶が新しいうちに記録しておきたかったのです。記録することに夢中になった私は、いくつも駅を乗り過ごしてしまいました。
はじめて飛び込みの訪問ができたことで、私は少し自信を持ちました。勇気ももてた気になりました。翌日からは、どんどん行けるようになるのではないかと、報告書を書きながら思ったものです。
しかし……。
翌日の一軒目、やはり緊張して営業先が入居している建物の中に入れませんでした。
そこで、昨日飛び込み営業ができたことを、頭に思い描いたのです。「昨日はできたじゃないか!」と自分を励ますことで、建物に入らないまま立ち去るのではなく、受付まではたどり着けたのです。
その後も、飛び込みができたときのことを思い浮かべてから、要はイメージトレーニングをしてから飛び込み営業をしているうちに、訪問先が五軒くらいできました。月・火・水・木・金と一軒ずつ訪問し、ほんの少しですが、見積に必要な情報をもらって帰社できるようになったのです。
本来は、一日に三、四軒は営業訪問しなければいけなかったため、残りの二、三軒は虚偽報告をしていました。
当時の私には精神的にも能力的にも一日一軒が精一杯だったのです。
私は、訪問先を増やしたいがために、作成した見積は、メールやFAXで送るのではなく、必ず持参しました。すると、見積を届ける際に、次の新規見積情報をもらえることがあるのです。これは、とてもうれしいことでした。なぜならば、また次回訪問するチャンスをもらえるからです。虚偽の報告を一つ減らせることができるからです。
そんな状況を繰り返していくうちに飛び込み営業ができるようになり、訪問先が増えていきました。緊張の度合いは変わりませんが、なんとかお客様と会話を交わせるようになってきたのです。

【事例2 おそろしい現場訪問】

 これは、先ほどの見積拾いの続編です。
 見積を提出した後、建設会社が新築ビルの工事を落札・受注していたならば、今度は他のシャッターメーカーとの競争になります。他メーカーを押しのけてシャッター工事の注文を取るべく営業をするのです。当時は、施工現場の所長が決済権を持っているケースがほとんどだったため、私は工事現場の所長に営業しなくてはなりませんでした。
 現場訪問は、当時の私には大きな問題でした。みなさん、イメージしてください! 大手建設会社の工事現場の所長……、怖いイメージがありませんか? 私は思いっきり怖かったです。
着工が始まっている工事現場、もしくは工事現場近くにある現場事務所に飛び込んで、所長に会わなければ、次の仕事へと進みません。しかし、所長に会うのが怖くて仕方なかった私は、工事現場の前を何度も行ったりきたりしていました。気おくれしてどうにも足が前に進まず、何時間も工事現場の周りをぐるぐると歩いていたのです。
しかし、いつまでもこのようなことを続けてはいられません。やはり、飛び込んでいくしか道はないのです。私は意を決して、現場へと足を踏み入れました。本来、現場事務所では建築図面をコピーしたり、チェックしたり、再度見積を出し直すといった仕事があるのですが、最初は挨拶するだけが精一杯でした。
必要に迫られて飛び込んでいくうちに、怖いという気持ちは麻痺していきました。現場の雰囲気というものが、どういうものか理解できるようになると、怖い気持ちはそのままでも、対処できるようになるのです。
あれほどおそろしかった所長にも慣れ、次第に話ができるようになりました。不思議なもので、ものすごくこわそうに見える所長ほど、やさしかったです。
飛び込み営業の克服法
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