読書が大切な時代

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Practical Psychology
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 籍を入れてからもう20年以上経つが、ピカチュウと会うきっかけになった時のことは、まだ覚えている。ピカチュウと出会ったのは、当時世の中でまだ始まったばかりだった会員制の出会い系SNSだった。
 200通以上メールが来た中で、ピカチュウの文章は抜群だった。
 下手をすると、400文字にも満たない、意味も中身もないメールが多い中で、情緒豊かに洗練された美しい文章は圧倒的に群を抜いていた。

 文章というのは、日頃、その人の頭の中にどんなコンテンツが入っているのか知る指標となる。
 特に文章から恋愛感情が湧いたわけでもないが、女性以上に豊かな感性を紡ぎ出す文章に強く興味惹かれ、この人は一体どんな暮らしをしている人間なのか、実際に会ったらどんな印象を与えてくる人間なのか、ただ、人間データ上、知りたいと思った。

 実際に新宿で会ったピカチュウは、理系男子なのだが、理系らしくなく、若い頃からとにかく読書量が半端なかった。読書の領域は広く、純粋な文学から歴史書、社会問題、ノウハウ系、エンタメまで幅広い範囲に及んでいた。
 自分は基本的に興味が偏っている人間なので、どんな領域にでも関心を持てること自体がすごいな、と思った。

 そして彼は基本的に先入観を持たない。あり得ることかもしれないという視点からものを見る。それは、幅広い領域の読書から、さまざまな人の見え方や考え方、先端の考えを取り込むことに抵抗がないからだ。
 自分に制限を持たせない。

だから、目の前のギャルを前にしても、(当時、ショップ店員をしていたため)ギャルの話を真面目に聞いてくれ、その本質的な価値を認めてくれた。
 ギャル、というのは、実はピカチュウと会った時には、売上が上がりやすいことから、お店のコンセプトや客層に合わせて、茶髪に縦巻きロールに厚底ブーツだった。赤い髪の時もあった。(※当時はマーケティングや販売の世界の研究に夢中だったのだ。)
 SNSにあげた写真は、たまたま色変えの時期で黒髪だったので、ピカチュウ的には、写真が忠実に私の現状を再現したものだったら、絶対に会うことはなかったらしい。w
 互いの守護神がまわる年だったので、追い風が働いたのだろう。

 自分的には、ピカチュウに対して、異性に対する何かは全く感じなかったが、友達としていい奴だと思った。そして、彼と付き合ううちに、すごく犬っぽいと思った。犬は古い時代の遊牧民にとってパートナーのような存在だ。
 今なら言語化できるが、彼の性質やムードは、モンゴル犬そっくりだった。
 ピカチュウはなんだか、人間っぽくなかった。

 概して、人間は実際にはあまり価値のない欲に囚われる。だからたいていの男は、自分がどんなに高い能力があるかを匂わせ、女の子にすごいね〜と言われるアプローチを目指す。
 自分もわかるが、男は能力を女子に褒められたい生き物なのだ。
 でも彼の欲というのは、綺麗なものが好き、とか、美味しいものが食べたい、とか、散歩したい、とか、女子的というか、原始的に近いもの?ばかりで、自分の魅力を異性に意図的にアピールしようなどという、ハンティング感覚が全くなかった。
 うまく言えないけど、なんか、要するに文明のごみみたいな欲からは離れていた。例えば、だが、能力は高いので、会社で、なんとかアワードとかで、トロフィーとか賞をもらって帰ってくるのに、次の日には、フツーの顔してそれを燃えないゴミに捨てに行く。
「なんで捨てるんだよ!」とびっくりして、止めると、
「これがなんの役に立つのか、わからないから。だって場所取るだろ。」とキョトンとした顔で答えるような、そんな動物チックな人間なのである。

 犬にとってスリッパはおもちゃである。
人間にとってスリッパは足の冷えを防いでくれるありがたいものだ。
犬はそれが理解できない。
 ピカチュウからはそれと同じような印象を受けるいろんな場面を経験させられてきた。
頭がいいのか、悪いのか、わからない。

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