Iはデザインで悩んでいた。
いくつか考えているものの、どれもしっくりと来ない。
これが芸大生の限界だろうか。
「どうにもならないときにはプロに相談してみるのもひとつだ」という先輩の言葉を思い出す。
今がまさにそのどうにもならないときなのかもしれない。
幸いなことに、近くのカフェにはデザイナーがよく集まる。
Iの通っている大学で講義をしたこともあるデザイナーたちだ。
そのカフェで目当てのデザイナーが集まるのを待って、声をかけてみるか。
Iがカフェで3杯目のコーヒーを飲んでいたとき、目当てのデザイナー3人が連れ立ってやってきた。
デザイナーたちがテーブルにつき、注文を終えたところでIは声をかけに行った。