気楽に読んでください、呼吸のおはなし ~その30~

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昨日の取り組みなどは文章だけだと本当に分かり難かったかと思います。形としては、スポーツ選手が国歌斉唱の時にしているような胸に手をあてるポーズ、あんな感じです。
今日のはもっと簡単なやり方をご紹介します。
両肩をすくめるようにググっと上に挙げます。こうするだけで体は空気を肺の中に結構たくさん取り入れたのがお分かりになれると思います。
この動作に関しては呼吸が逆パターンになる方は少ないように思います。色んな方と呼吸のワークを共にさせて頂いた経験上もそうです。
肩を持ち上げると体は息を取り入れます。
一般的に筋弛緩法というリラクゼーションとしてこの動きが紹介される時、この後瞬時にパッと肩を落下させるように一気に脱力させますね。
今日はそうではなく、今から体が息を排出する、その質感とか速度に寄り添いながら肩を降ろしてみませんか。
肩を一気に脱力させるとリバウンドが起きています。
息の速度や質感に寄り添って、心地好いため息と一緒に肩が降りて行ってくれると、リバウンドしないどころか、本当に緩んでリラックスした時の肩の位置、肩の高さ(低さ)を再確認させてくれます。
日々のスケジュールや、人様の意向に合わせて生きている時間を多くしてしまいがちな僕達は、肩が緩む余地、呼吸をもっとゆったりと排出していられる “ しろ ” (伸びしろとかのりしろの しろ のことです)に気付かずに、直ぐに次の新しい息を取りに行きたくなるのですが、このように肩なら肩の存在感、重みを味わい感じながら丁寧に呼気の速度を尊重しながら降ろしてみることで、一回の吸気で取り入れた酸素を、無駄遣いすることなく消費することが出来ます。
つまり、少し前の回でお話した、呼気とは、体が縮む作用と重力にお任せするという定義、あれをリアルに体現することとなり、長く息を吐こうなどと企図するのとは全然違う、全く我慢とか義務感とは無縁の感覚で、息が出て行くのを見届けながら待って居られる、そんな自分に出会えます。
この呼吸と肩の動きの一致、一回やったなら、もうそれで充分であれば無理に二回三回とやる必要はありません。
その時の体の満足感が答えとなります。
それでも、興味が増して更に続けたい時はどうぞ続けてください。それも自由です。
ただ逆に、不全感、肩が降りるべき所まで降りた心地がしないそんな場合は、数回トライしてみて、もしも不全感から抜けられそうに無い場合は、そこで一旦は諦めてやめてあげてください。体を、自分を、一先ずは許してあげてください。
それも、大事なセルフケアとなります。
このような時の為に、ペアでやるケアの方法があるのですが、それは次回以降に必ずご紹介して参ります。
今日の動きをもしも立ってやるのならばやる前に足の裏を、座ってやるのならば坐骨を、前以て触っておくのも良いでしょう。
しかしこうも言えます。
今回は、一旦挙げた肩をゆっくりと降ろすことで、その肩という存在感、重みでもって体の内部を通して足の裏や坐骨に内側から触れる、そんな感覚にも目覚めてみてもらいたいです。
肩が降りるエネルギーが、体という筒状の物体をバイパスとして下端部まで到達する感じ。
体の上部に位置する所から「遠慮なく重みを預けますからしっかりと受けてくださいね」というメッセージを身体の底部に送る。
こんな世界観に気付けたならば、顎関節や首、肩周辺にあった緊張は、確実にその様相を変えている筈です。
何か大事な話を、語り始めてくれるかも知れません。
こんな風に、本当に自分に優しく、自分の為の真摯な取り組みが出来た時に、これを不快感を伴わずに誰かにやってみることも叶うのです。
セルフケアの神髄です。

つづく
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