『原価率の削減策』について、ご説明しています。
前回は、「内部での削減策」についてでしたが、
今回は、「対外部による削減策」です。
対外部は、仕入先や外注先等との「価格交渉」「条件交渉」が
必要なことが多いため、「内部での削減策」に比べ難しい面があり、
効果に結び付くまでに、時間もかかります。
ただ、利益を増やすためには、手を付けないわけにはいかない分野です。
順番に見ていきましょう。
◎ 条件交渉
⇒ 販売額の大きな商品から、順に「単価」と「仕入れロット」等の
条件について検討していきます。
〇 相手のメリットとの抱き合わせによる、仕入・外注単価の引き下げ
・ 例えば「支払いサイトの短縮」「納期・納品方法の見直し」等。
〇 相見積もり
・ 価格の比較により、仕入れ価格を引き下げます。
・ 仕入先、外注先は、定期的に見直しましょう。
〇 大量一括仕入れ
・ 小口仕入先を集約し、集中購買により価格交渉をします。
〇 新規取引先(仕入先)の開拓
・ 現在の取扱商品と同等の品質を有する低価格な代替商品を
提供できる仕入先を開拓します。
◎ 仕入先・外注先の集約、分散、取引中止
〇 受注内容に沿った、仕入先、外注先の使い分け
・ コスト、設備、技術力等により「評価発注基準」を明確にします。
〇 内製化、自社対応
・ (前回「対内策」でも触れましたが)コスト比較のうえ、
内部でできるものは、内部でやりましょう。
注.同じコストなら、外製化したほうが「損益分岐点」は、
下がります(固定費の変動費化)。
当然、内製可能商品の販売を優先します。
〇 共同化
・ 共同配送、共同物流により、配送等の効率化を図ります。
★ これらの対策は、当然に「取引先」「仕入先」も
検討しているわけで、逆に取引を減らされたり、
切られたりするリスクもあるわけです。
ただ、このピンチを自社の『強み』に磨きをかけて、
相手に評価してもらえれば、『機会』として業績を
伸ばせるチャンスにもなるので、「攻守」両面で、しっかりと
検討しましょう。
最後に、診断の実習で提案した「改善策」を1つ。
事例は、地方都市のビジネスホテル。
交通網の発達と、経費削減で出張者が減少して売上が低下した状況を、
どう立て直すか?、という事例です。
「経費を徹底的に削減する」「遊休不動産(駐車場の土地の一部)を売却」
等は当然にやるとして、空き室があっても、維持費はかかるので、
やはり『売上』を上げなければ、利益は増えていかない。
利益を上げるためには(前回までやりましたが)、
『単価を上げる』『来客数を増やす』のいずれかが必要。
ただ、当然周囲の同業者との競争関係があるので、「単価」は上げにくい。
で、考え付いたのが、地元の女子大生向けの「学生会館」として、
いくつかのフロアーを、「客室」から「女子学生の寮」として専用フロア
にするというものです。
メリットは、
・ もともと空き室なので、(多少単価は下げても)確実に売上は増える。
・ 強みである「優秀な女性スタッフ中心(女子学生の安心感)」ゃ、
「大型浴場施設」等が生かせる。
・ ホテルの、セキュリティーの高さ(学生、親へ)をアピールできる。
・ 男性サラリーマンへの話題性。リピーター化。
・ 業種転換等への『補助金獲得』の可能性。
実際には、いろいろな課題もあったのですが、知恵を絞ることによって、
改善の可能性は広がる、と思える事例です。
なお、経営改善を「強み」「弱み」「機会」「脅威」を明確にして考える、
『SWOT分析』という手法が、有効だと思います。
ココナラのブログに『創業寺子屋 付録②「SWOT分析のやり方」』
というコラムを載せていますので、参考にしてみてください。
次回は、「経費の削減策」について考えたいと思います。
以上、富太郎でした。