こんばんは、玲那です。クライアントさんから「ASDグレーゾーンの相方さんと付き合うのは大変じゃないですか?」と尋ねられたので、ソレについて今夜は書いてみようと思います。
相方は、ASDグレーゾーンです。出会って親しくなった当初から「ASD傾向強めだよね」と話しており、本人もその自覚を持っていましたが、先日しっかり医師に診断されました。
ASDといってもかなりグラデーションがあるとのことで、当てはまらない方もいらっしゃるでしょうが、私が愛してやまない彼の特徴をいくつかピックアップしました。
■複数の社交は捨て犬になる相方
相方と言えばコレ、というくらい際立つ自閉モード。私以外の人とはがんばって社交していますが、その場に私がいると自閉モード炸裂します。
まず、彼は複数の人と社交することが苦手です。マンツーマンなら何とかできる、でも複数の人と同時に社交しないといけないような場では、ずっと伏目でうつむいているだけで、ほとんど言葉を発しません。
あるとき知人を相方の教室(彼はドラムの先生です)へ連れて行ったのですが、自分の教室というホームであるにもかかわらず、自閉モードに突入。私が話しかければ返答はするものの、それ以外はうつむいていました。
途中で私が「トイレに行って来る」と言うと、まるで捨て犬のようなすがる目で私を見る相方。俺を置いて行くのかひどい~~~~という心の声が漏れ伝わる表情。分かりやすすぎ。
1年経った今でも「あれはひどい。しかもなかなか帰ってこないし!」と憤慨しています。いや、フツーにトイレ行っただけですけど?っていう。それ以来、なるべく傍を離れないようにしています。抗議が激しいので(笑)
■何かあると閉店ガラガラ自閉モードな相方
また、疲れているときや嫌なことがあったとき、体調不良のとき、自閉モードに突入します。
普段は私の顔を見ながら話せるのに、自閉モードに入るとずっと下を向いて黙っています。口を開いても、10分に一度ボソッ・・・と言うか言わないか、が限界です。普段はいろいろ自分語りが好きなくせに。
そんなときはいつも「あー自閉モード炸裂してるー」と放置しています。
だって自閉モードに突入したら何言っても何やっても無理なんですもの。相方には満足いくまで自閉モードを満喫していただき、私は放置プレイかまして本を読んだり勉強したりしています。
■自動的に失言をしてしまう相方
相方は『まったく空気が読めない』というわけではありません。それは彼の訓練の賜物で、昔はあまり空気が読めず失敗したことも多かったようです。彼なりに努力して対処法を覚えてきたとか。それはすごいと素直に思います。
今でもどうにもならないのが『自動的に失言をしてしまう』という特性。その自覚があるため、どんなに親しくなっても99%の人に対しては素の自分を見せないようにしているそうです。
そう、残りの1%が私です。
具体的なセリフは(数が多すぎて)もう忘れましたが、表情から感情を読むことを苦手とする彼でさえも、私はとても分かりやすいのだそう。確かにいつも「あ、やばい、やらかした・・・」みたいな顔をしています。
彼曰く「怒ると後ろに日本刀が見えるからすぐに分かる」んだそうです。ちゃららーん!ちゃららーん!と、あの極妻のテーマが流れるらしい。自分がやらかしておいて、人を極妻のように言う。まったく失礼な話です( 一一)
私が極道になることはあまりなく、基本的には笑っています。腹が立つ前に「そんなこと言います!?」っておもしろいんですもの。でも私以外の人だったらブチキレてるだろうなって思うこと多々です。私、やさすぃー。
■謝るのが苦手な相方
ちなみに彼、謝るのも苦手です。
私が日本刀をキラーンと光らせるほどムッとしているにもかかわらず、彼の口を突いて出る言葉は「ごめんなさい」ではなく「違うんですよ!」か「違います、誤解です!」のどちらか。
本人曰く「何で怒ってるのかは分からないけど、自分の発言で怒ってるのは分かるから、どうにかしなきゃ!と焦って、何にも違わないのに『違う』と言ってしまう」んだそうです。わからんのかーい。
最近では彼が「違う」と言い出したら『ああ、ごめんねって言ってるんだな』と解釈するようにしています。怒らせるつもりはなかった、と彼が一番混乱しているんだな、と。私、ほんと優しい。
■一切崩れないマイペースな相方
相方は周りが根負けするほどのマイペースさです。傍から見ているとヒヤヒヤするくらい、いつ何時でも誰に対しても、マイペース(マイワールド?)を発揮します。
たとえば、彼は最大でも2週間に1度しか自宅ポストを見ません。開けたら最後、郵便物の存在を忘れてしまうんだそうです。
昔は毎日チェックしていたらしいのですが、請求書の存在を忘れて電気や水道を止められたり(水道止められるってなかなかの事態なんですけど)したそうで、対応できるタイミングでしか見ない!と決めたんだそうです。
あるとき「重要な書類が届くからポストを見なさい!」と1ヶ月間毎日言い続けたことがありましたが、ちょうど忙しかったせいもあって、1度も見ませんでした。だめだこりゃ~と私が諦めた途端見るという謎。
同様にLINEも開いたら最後、返信し忘れるので(自分的に)返信できるタイミングがくるまで開きません。2~3日前に私が送ったLINEを、私と会って私の目の前で開いて返信をくれる、という謎の律義さを垣間見せてくれます。
緊急の要件だろうが何だろうが、一切お構いなしです。しかもレッスン中は電話もつながらないので最悪です。さらには生徒さん優先なので、私は一番最後です。私なら分かってくれると信じ切ってます。
私はというと、全然気にしてません。あー忙しいんだろうなーいっぱいいっぱいなんだろうなーと思ってます。返事しなきゃーと気にしてるのは分かるし、仕事がんばってるんだから別にいっかなーみたいな(軽い)。
■尋常でないこだわりを発揮する相方
仕事においても尋常でないこだわりを発揮するので、下手をすると1週間ほとんど寝ないで作業をする、みたいなことをやります。
レッスンの他に動画配信もやっているのですが、その編集にもこだわりまくるのです。横で見ていても私には「???」なのですが、彼曰く「0.01秒音が合わない」とかで、何度も何度も同じ個所をいじっています。
あ、2020年に大流行した『鬼滅の刃』の主題歌『紅蓮華』は、まさに彼の編集作業中に覚えました。丸1日中「どうしたって~♪」この1小節だけを延々と聞かされました。新手の拷問かと思いました。
今年のお正月も自分が「おせちとお雑煮が食べたい」と言うから作ったのに、前日前々日と連日徹夜で動画編集をしていたらしく、食べながら半分寝てました。最後にはもう呂律も回らず、何を言ってるのかさっぱり分からん。
もう『彼は5歳児なんだわ』と思うようにしました。出産した覚えもないのに大きな息子ができました。謎。
■計画性のないお出かけ&急な変更は混乱する相方
最後に、彼は計画性のないことが苦手です。たとえば、何の予定も決めずに会うとか、何も決めずにあてのないドライブをするとか、そういうことは一切できません。
それは事前に聞いていたのですが、あるとき試しにあてのないドライブに誘ってみたところ、近辺をウロウロすること20分で「・・・もう今日は帰ろう・・・」と言い出しました。どんだけ苦手なの!と2人で腹を抱えて笑いました。
また、以前にお付き合いした方との間では「水族館に行こう」と約束したのに当日になって「やっぱり別のところに行こう」と言われたことがあるらしく。
「自分が水族館行きたいって言ったから予定してたのに、急に別のところに行こうとか意味が分からない。もうそう言われた瞬間に『じゃあ今日は解散で』って言いたくなる」
と、昨日の出来事かのように憤慨していました。私に言われても。そのくせ、じゃああなたが計画してと言うと困る、という。どうしたら相手が喜ぶのか、考えても分からないんだそうです。プレゼントも同様。
なので、彼と何かするときにはまず私が簡単に計画を立てて、それから彼に相談するようにしています。私のほうから「これしたい!」「ここ行きたい!」と言えば喜んで付き合ってくれるので、私にとっても好都合です。
■結論、ASDグレーゾーンの相方と付き合うことは
他にもいろいろと細かいことを言えばキリがないです。独特な世界観、独特な表現や言い回し、独特のマイルールの数々、独特な感性、言葉から察することがうまくできない、コミュ障、いろいろあります。
でも、相方との付き合いの中で「大変」と思ったことは、一度もないです。
正直、今までの彼女さんたちは大変だっただろうなあ・・・と思うことは多々あります。一般的な「普通」を求められたら彼は対応できないだろうし、求める側も彼の特性を理解できなかったらつらいだけだっただろうな、と。
相方も「(相手が私だから)許されてるけど他の人だったら絶対に許されないからその面は見せないようにしてる」と言います。自分には「普通」が分からないし、「普通」にはなれない、と。
私は別に許しているつもりもなく、苦しんでいる方にとっては不謹慎かもしれないけど、ただただおもしろいのです。私とは違うから。お互いの違いをひとつずつ知っていくことが、とても楽しいのです。
確かに、私が相方に合わせること、気を遣うことのほうが圧倒的に多いです。それは紛れもない事実です。でも、それを苦痛に感じたことも、不満に思ったことも、たったの一度もないです。
だって、人に合わせることがなかなかできない相方が彼なりに私に合わせようと努力してくれているのも分かるし、自分とは違う私を彼なりに理解しようとしてくれているのも分かるから。
相方なりに私との関係を大切に思っていて、維持したいと思っているのが分かるから、それで十分なのではないかしら?と思っています。きっと彼も、自分と違う私に戸惑ったり困惑したりしているはずだし。
でも私がそう思えるのはきっと、私の虐待経験や性被害経験、ホステスとして生きてきた人生などを彼が丸ごと受け入れてくれたからだと思います。「自分はそんなこと気にしない、目の前にいるあなたがすべてなので」と。
私には、それ以上に分かってほしいことなんか何もない。そこに発達障害云々は関係ないと思うんですよね。だから私も、目の前にいる相方を丸ごと受け入れたい。そう思っています。
ときどき「このやろー・・・」と思うことはあるし、想像の斜め上辺りをいく世界観が理解し難いときもあるけど、私にとっては『普通』ではない相方がとても愛しいのです。