ハウス屋のつぶやき

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水平剛性について

当初、水平力を負担する軸組ブレースの負担過重はX方向・Y方向ごとに
ブレースの数で水平力を割って負担荷重を計算していました。一種類の
ブレースであれば問題はなかったのですが、何棟目かで、何種類かの
ブレースを使う設計が来ました。そこで水平剛性に突き当たりました。
東京都の指針の中に、水平剛性K=(EA/ℓ)×cos^2(θ)と言う式を見つけて
それを使うようになりました。サッシが多い建物であると、幅910mmの
部分にブレースを入れざるを得なくなります。すると、水平剛性は、幅
1,820mmの場合に比べて1/3程度に減少してしまいます。W:910部分を
3ヶ所確保してW:1,820部分1ヶ所と同程度と言うことです。そんなに
壁部分がないため、W:910mmはブレースを太くするか、2段にするかと
言うことだと考えました。柱材が薄いため太いブレースを使うとバランスが
悪いと思い2段にすることにしました。しかし2段にした場合の式は、ありませんでした。上の水平剛性の式はK=P/δ=(EA・・・・と書いてありました。
2段にしても中間には、水平力はないので、1段分を取り出すとW:1820に
比べて、長さが1/2になった相似形になります。δも1/2になり2段ですので
全体のδは1/2×2δ=δとなり、P/δ(=K)は、W:1820の場合と同じになりました。W:910ブレースは、2段とすることによって、W:1820と同じ剛性と
なりました。単純に2段にしてしまうと、中央部分に座屈止めが来ることに
なります。軒高が高い場合は、すべての軸組ブレースを2段にする場合が
多いです。この場合の座屈止めは、同位置にして、力を隣、またその隣へ伝えます。サッシを避けた位置にする方が、現実的です。つまり、
2段の場合の上と下のブレースの形状が変わるということです。この場合も
上と下のδを計算して、それを加えてP/δ(=K)を計算しました。
建物の妻方向が12mを超える場合は、ルート1の計算のため、内部に柱を
設けます。さらに製造ライン等の理由で内部の耐力壁をなくせと言う指示が
良く来ます。この場合、内部柱と梁は剛接合として柱脚も剛とすれば、耐力壁の代わりになると思いました。金額は高くなるでしょう。この場合もK=P/δ
を使って水平剛性を計算しています。細長い土地で、正面に入口と開口部を
配置すると壁になる部分がなくなると言う場合もあります。多少開口部を狭く
してもOKであるなら、柱を組立柱(ラチス柱等)として柱脚を剛とすることに
より、水平力に対する抵抗を賄えば良いのでは?とも考えています。


断面性能

組立ハウスを設計していると、柱材が細いため、断面が不足する状況が起こります。柱を変えても同じ壁パネルを使用したいため、当初の柱に補強材を溶接して、断面性能の数値を上げるという対策が必要になります。通常の壁が現場施工であれば、大きな断面の鋼材と入れ替えすればことは足ります。しかし、組立ハウスでは、その選択はできません。そのため新しい鋼材を溶接して新断面とします。この補強材の溶接ピッチをℓとすれば、補強材のiyを使って細長比λ1=ℓ/iyを求めます。(λ1は補強材の細長比です。) 全体の細長比は、全体のℓb/組立断面のiyで計算します。このλとλ1を使用して有効細長比λye=√(λy^2+(m/2)×λ1^2)で求めます。√はルートです。全体の平方根を求めます。λy^2はλyの二乗です。mは組み立てた素材の数です。λ1≦20である場合は、λye=λyで、数値を大きくしなくても良いことになっています。柱材に使う場合は、λyeを120以下に抑えます。
組立断面は、まず図心(断面の重心)の位置を計算します。それぞれの素材の図心(重心)から全体の図心までの距離をℓとすると、各素材のIxを加えて、さらにℓ^2×Aをそれぞれ加えれば、組立断面のIxになります。これを図心から遠い方の縁部までの距離で割れば、Zx、Ix/Aの平方根を求めればixになります。



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