人事はなぜ「孤独」を感じてしまうのか

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こんにちは。現役人事担当&キャリアコンサルタントのノブです。


よく「人事の仕事がしたいです!」「どうすればなれますか?」
という相談を持ち掛けられます。
この質問のあと、「人事って、どんな仕事のイメージ?」と聞くと
だいたいは採用や教育のイメージしか持っていないことが多いです。


人事という仕事は一般的に見てもそうみられて仕方ない立場ですが、
仕事は多岐にわたり、採用や教育の「光」の仕事もあれば
労務管理、規程や制度の整備運用などの「影」の仕事もあります。
特に「影」の仕事を対応されている方は、だれしも「孤独」を感じる場面に出会うのではないかと思います。
「孤独」を感じてしまう理由について、いくつか書いてみたいと思います。


1.業務の秘匿性が高い

人事の仕事として、一般的にイメージされるのが「採用」や「給与計算」などがありますが、一言で人事といっても様々な仕事があります。

例として、
・採用、雇用(採用活動、入社してもらうための広報活動など)
・人事企画(会社の資産の一つである「ヒト」をどのように活用するか)
・労務管理(働く人の管理 給与や社会保険、健康診断の手続きなど)
・教育、育成(研修の企画や実施、社員育成の企画など)
・規程、制度の整備運用(働きたくなる会社とするための仕組みなど)
とあります。

大手の企業では雇用する人数も莫大となるため、人事部はかなり大きな組織となり、それぞれのカテゴリーでセクションが組まれていて働いています。

しかし、中小企業となると上記のカテゴリーをすべて担当し、日々一人か少人数で人事業務を回していることも多いのではないでしょうか。

合わせて、他の部門とは一線を画しているのも特徴で、人事イコール(社員の)秘密を扱う仕事になるので、取り扱う内容も他に相談できる内容でもなく、必然的に秘密となるべき内容も多くなります。


2.多くの人とかかわる仕事になる

人事は非常に多くの方とかかわる仕事です。

例えば「自分にとっての「お客様」は誰ですか?」という質問をすると、
営業部門では取引先などのお客様を挙げますが、人事部門では社員全員を挙げる方が多いと思います。

当然、営業などでは関わる取引先や社内の部署の方と接点を持つことが多いと思いますが、人事となると、経営層(社長や取締役などの役員)からアルバイトや派遣社員に至るまで、会社で働く人すべてとかかわります。

ですので、よく言えば社員全員と仲良くなれる立場です。

社長や役員と誰よりも多く接点を持つ立場にもなりますし、管理職やリーダーといった方と様々な情報交換をしたり、社員やアルバイトの人からの様々な相談を持ち掛けられたり…、ということがあります。

3.社内での人間関係を制限せざるを得なくなる場合がある

人事は前項のとおり、社員の様々な情報を取り扱う部署です。

良く言えば周囲から一目置かれる存在になりますし、悪く言えば周囲から様々な視点で見られる部署になります。

このため、どうしても公平性を持って接さざるを得なくなります。

例えば、人事担当者とある社員と二人で飲みに行ったとすると。。。

「○○さんは人事担当者と飲みに行った」といううわさ話からはじまり、そのうち「良い評価を得ようとしている」「誰かの文句を言っていた」などとありもしない話に発展することがよくあります。

人事担当者も社員も個人的な関係で飲みに行っただけなのに、周囲は「人事」という部署にいるだけで様々なことを言い始めます。

こうなってしまうと社員に迷惑がかかってしまうため、仕事以外の接点を持たないようになってしまいます。


4.話せない相談事や案件が多い

1.の業務の秘匿性にもつながる話ですが、人事には人に関することについて、様々な相談を持ち掛けられます。

また、トラブルや相談事については、状況によっては「炎上」した状態で持ち込まれるため、これを先頭に立って処理する人事担当者のストレスは半端なものではありません。

トラブルや相談事も「給料が少ない」「休みを取らせてもらえない」というものから、
「○○部長からパワハラ、セクハラを受けた」
「○○さんをクビにするにはどうしたらよいか」
「○○さんに似た人物がキャバクラで働いていた」
などという一筋縄ではいかないようなものまでさまざまです。

これらの話は、間違っても周りに「いやぁ、こんなことがあってさー」とも話せないですし、その話をしようものならば、まさに「悪事千里を走る」のごとく、周囲に知れ渡ります。
その後の影響は、こちらに書かなくても想像できると思います。。。

5.孤独を感じないための対処とは

人事担当者は他の部門とは違って特殊な仕事をしているため、どうしても社内に「壁」を感じることがあるのではないかと思います。

また、非常にストレスのかかる仕事でもあるため、ストレスへの対処が上手でないと務まらない仕事です。

合わせて、特に中小企業では人事の業務を一人または少人数で対応せざるを得ないため業務量も多い状況です。自社以外で接点を持つ機会も自分から意識的に動かないと取りにくいのではないかと思います。

このため、人事担当者は誰よりもコミュニケーションを取り合ったり、社内に限らず社外に自分の居場所を多く持つことも重要ではないかと思います。

例えば「人事 コミュニティ」と検索すると様々なサイトも出てきます。ここから居場所を一つでも多く見つけることで孤独感の解消はできますし、人事としての専門性を高めるきっかけになるのではないかと思います。


【最後に】

人事とは「人」と向き合う仕事のため、必然的に「自分」と向き合うことが
多くなります。これ故に奥深い仕事とも言えます。

会社としても人事に配属するということは、このような難しいミッションを必ずやり遂げてもらえるだろう、と信じられている立場であり、人を扱う重要なポジションを任せてもらうる、期待されている証ともいえるのではないのでしょうか。

こんな誇りをもって仕事ができれば素敵ではないかと思います。
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