ビデオカメラの違いは2つしかない

記事
写真・動画
カメラの細かいスペックの違いを挙げていけばキリがありませんが、使用目的から見れば、業務用とそれ以外のビデオカメラの違いは2点しかありません。

ズームリングと音声入力、この2つです。

ズームリング


マニュアル(手動)でスムーズに操作できるズームリングがあるかどうかが、業務用とそれ以外のビデオカメラを分ける最大のポイントです。

プロのカメラワークでいちばん重要なのはズーム操作です。これがスムーズかつ素早くできないと、被写体の動きにあわせて寄りと引きを使い分けた見やすい映像を撮ることができません。

業務用ビデオカメラ

1-43.jpg

上の画像をご覧いただければわかる通り、業務用ビデオカメラのズームレンズには、フォーカス・ズーム・アイリスをそれぞれマニュアル操作するためのリングがついています(一部例外もあります)。どれも基本的に撮影しながらでも操作しやすいように作られています。

ちなみに、フォーカスリングはピント、アイリスリングは画面の明るさを調節するものですが、撮影中にマニュアル操作することは、実際にはあまりありません。普通は撮影前にマニュアル設定して固定状態で使うか、オート(自動)設定でカメラ任せにするかのどちらかです。

家庭用ビデオカメラ

1-3.jpg

家庭用ビデオカメラで、こういう操作しやすいズームリングがついたものはありません。ズームは電動式で、ズームレバーをW(広角)かT(望遠)どちらかに倒すことで操作します(一部例外もあります)。

この方式だと、撮影しながらの操作はかなり制限されます。

ズーミングの割合やスピードを、被写体の動きやカメラマンの意図にピッタリ合わせるのは、ズームレバー方式では非常に難しいからです。

一眼カメラ

一眼カメラで撮る動画は、イメージセンサーやレンズの違いにより、家庭用ビデオカメラで撮る動画に勝る場合もあります。

しかし、気をつけなければならないのは、一眼カメラのレンズはあくまで写真撮影を主目的に作られているということです。

特にズームレンズの場合は注意が必要です。そもそも、写真はズーム「しながら」撮影することはないので、写真用レンズの設計では、ズームリングの操作性や操作音を第一と考えてはいません。

また、ビデオ用のレンズはズーミングしてもピントが変わりませんが、写真用のレンズはそうでないものもあります。

ちなみに、ビデオカメラでは光学20倍といった高倍率のズームレンズが当たり前ですが、一眼カメラ用のレンズにはそんな高倍率のものはありません。

仮にそのようなレンズを作っても大きくなりすぎて実用的ではありませんし、撮影対象に合わせてレンズを交換するのが一眼カメラ本来の使い方だからです。

スマホ

スマホのカメラにズームレンズはついていません。スマホのズーミングは、レンズによる光学式ではなく、デシタルズームです

デシタルズームとは画像の一部を切り取って拡大するもので、撮影後に編集アプリで加工するのと同じことです。ですから、必然的に画質の劣化を伴います。スマホのカメラは、基本的に自分や近くのものを撮るためのものです。

音声入力


ライン入力ができる音声入力端子があるかどうかが、2番めのポイントです。

ライン入力端子は、講演会やライブなどで、ステージの音声をクリアに収録する際必要になります。

業務用ビデオカメラ

業務用ビデオカメラには普通、メスのXLR(キャノン)コネクターが2つついていて、2系統の音声入力ができるようになっています。

1.jpg

1-1.jpg

XLRコネクターは上の画像のような形をしていて、主に業務用のマイクやオーディオ機器で使われているコネクターです。カラオケや放送室で見たことのある方も多いと思います。

これらのXLRコネクターはそれぞれ、マイクレベル信号とラインレベル信号を切り替えて入力できるようになっています。

マイクレベル信号は文字通りマイクからの信号、ラインレベル信号はオーディオ機器からの信号です。この2つの信号は電圧レベルがまったく違うので、同じ入力を使うことはできません。

講演会などでは、ステージのマイクが拾った音声はミキサーを通してスピーカーから会場全体に流されます。これをカメラマイクで録音すると、客席のノイズや反響音をカットできません。

ステージの音声をできるだけクリアに収録するには、ミキサーからカメラにケーブルを繋いで録音する必要があります。この場合の電圧レベルはラインレベル信号になります。

家庭用ビデオカメラ・一眼カメラ・スマホ

これらのカメラには、ライン入力可能な音声入力端子はついていません。

1-2.jpg

多くの機種に「外部マイク入力」という端子がありますが、あくまでビデオカメラ用の外付けマイクを接続するためのものです。

ですので、その端子にオーデイオ機器をつないでラインレベルの信号を入力すると、電圧レベルが大きすぎて音割れを起こしてしまいます。

(了)


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す