「SEM?KPI?チャーン?なにそれ?」
ホームページ制作の仕事を始めたころ、クライアントやディレクターとの打ち合わせでカタカナ・アルファベットが飛び交うたびに、頭の上に「?」が浮かんでいました。その場ではわかったふりをして、あとでこっそりGoogle検索する。そんな日々、私にも普通にありました。
WEBマーケティングの用語って、略語だらけで最初はとにかくとっつきにくい。でも一度ちゃんと理解してしまえば、クライアントとの会話の解像度がぐっと上がります。「なぜこのデザインにするか」「なぜここにボタンを置くか」をマーケティングの言葉で説明できるようになると、信頼される制作者に近づけると思っています。
この記事では、現場でよく使うWEBマーケティング用語を、完全初心者でもわかるようにカテゴリ別にまとめました。用語の意味だけでなく、具体的な例もセットで紹介しているので、ぜひ手元に置いておいてもらえると嬉しいです。
【基本中の基本】まずここから押さえたい用語
■CTA(シーティーエー)|ユーザーに「次の行動」を促すボタンや文言
CTAは「Call To Action(コール・トゥ・アクション)」の略で、日本語にすると「行動喚起」です。ホームページを見てくれたユーザーに「次に何をしてほしいか」を示す要素のこと。
✅具体例
飲食店のホームページなら「今すぐ予約する」、コンサルティング会社なら「無料相談はこちら」、ECサイトなら「カートに入れる」といったボタンや文言がCTAです。
どんなに内容が良いページでも、CTAがないと「で、どうすればいいの?」でユーザーが離脱してしまいます。制作時は「このページを見た人に、最終的に何をしてほしいか」を最初に決めてからデザインするのがおすすめです。
■CV / CVR(シーブイ・シーブイアール)|サイトの「目的達成」のこと
CVは「Conversion(コンバージョン)」の略で、サイト上のゴール達成を意味します。問い合わせフォームの送信、商品の購入、資料請求、会員登録など、サイトによってCVの定義は変わります。
CVR(コンバージョン率)は「訪問者のうち何%がCVしたか」を示す数値です。
✅具体例
月に1,000人がサイトを訪れて、10人が問い合わせてくれた場合、CVRは1%。これを2%に上げれば、同じアクセス数でも問い合わせが倍の20件になります。CVRを意識した設計(CTAの位置・フォームの使いやすさなど)が、結果に直結します。
■LTV(エルティーブイ)|お客さん一人が生み出す"一生分"の価値
LTVは「Life Time Value(ライフタイムバリュー)」の略で、「顧客生涯価値」と呼ばれます。一人のお客さんが、最初の購入から最後の取引までに合計でどれくらいの売上をもたらすかを示す指標です。
✅具体例
月額1万円のサブスクリプションサービスを2年間使ってくれたお客さんのLTVは24万円。同じお客さんが5年続けてくれたら60万円になります。新規顧客を獲得するコストは既存顧客を維持するコストの5倍かかるとも言われるため、「いかにリピーターを作るか」という視点でLTVは重要視されます。
■KGI・KPI(ケージーアイ・ケーピーアイ)|目標とその中間指標
KGIは「Key Goal Indicator」の略で「最終的なゴール」、KPIは「Key Performance Indicator」の略で「そのゴールに向けた中間の測定指標」です。
✅具体例
KGI(最終ゴール):「月の問い合わせを30件にする」
KPI(中間指標):「月間PVを2万にする」「CVRを1.5%以上にする」「直帰率を50%以下にする」
KGIだけ決めてもサイト改善の方向性が見えにくいため、KPIに落とし込んで「何をどう改善するか」を具体化するのがポイントです。
■SEO(エスイーオー)|Googleで上位表示を狙うための取り組み
SEOは「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略。GoogleやYahoo!などの検索結果で上位に表示されるよう、サイトを改善する取り組み全般を指します。
✅具体例
「渋谷 美容院 メンズ」というキーワードで検索したとき、自分のサイトが1ページ目に表示されるようにするための施策がSEOです。コンテンツの質・ページの読み込み速度・スマホ対応・被リンクの数など、様々な要素が影響します。即効性はなく、成果が出るまでに3〜6ヶ月かかるのが一般的です。
■PV・UU・セッション|アクセス数を表す3つの指標
アクセス解析でよく使う3つの指標です。
・PV(ページビュー)
ページが閲覧された回数の合計。1人が10ページ見たらPVは10。
・UU(ユニークユーザー)
実際に訪れた人数。1人が10ページ見てもUUは1。
・セッション
1回の訪問のまとまり。30分操作がないと新しいセッションとしてカウントされる。
✅具体例
「先月のPVは8,000、UUは3,000、セッションは3,500」という場合、3,000人が訪れて平均2.6ページ見ていったことがわかります。UUに対してPVが高いほど、コンテンツをしっかり読んでくれているサインです。
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【集客・流入】どこからユーザーが来るかを知る用語
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■SEM(エスイーエム)|検索エンジンを使ったマーケティング全般
SEMは「Search Engine Marketing」の略で、検索エンジンを活用したマーケティング施策の総称です。SEO(自然検索での上位表示)とリスティング広告(有料の検索広告)の両方を含みます。
「SEOで自然流入を増やしつつ、リスティング広告で即効性のある集客も行う」というのが、SEMの基本的な考え方です。
■オーガニック流入 / リスティング広告|無料 vs 有料の集客
・オーガニック流入
広告費を使わず、検索結果から自然に訪れたアクセス。SEOで獲得する。
・リスティング広告
Googleなどの検索結果の上部に表示される有料のテキスト広告。すぐに集客できるが、費用がかかる。
✅具体例
「整体 新宿」と検索したとき、最初に「広告」と書かれたリンクが出てくるのがリスティング広告。その下に自然に並んでいるのがオーガニック検索の結果です。
■リファラル / ダイレクト流入|他サイトや直接訪問
・リファラル
他のサイトのリンクをクリックして訪れたアクセス。ブログに紹介されたり、SNSからリンクが貼られたりして流入するケース。
・ダイレクト
URLを直接入力したり、ブックマークから訪れたアクセス。ブランド認知が高い証でもある。
・SNS流入
InstagramやX(旧Twitter)などSNSのリンクから訪れたアクセス。
Google Analyticsで「どこからユーザーが来ているか」を確認することを「流入元分析」と言います。流入元がわかると、どの施策に力を入れるべきかの判断材料になります。
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【広告・費用】広告を出すときに必ず出てくる用語
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■インプレッション / CPC / CPM / CPA|広告の基本指標
・インプレッション
広告が表示された回数。1,000回表示されたら「1,000インプレッション」。
・CPC(Cost Per Click)
クリック1回あたりの広告費。CPC100円の広告を100クリックされたら1万円。
・CPM(Cost Per Mille)
広告1,000回表示あたりの費用。バナー広告などで使われる。
・CPA(Cost Per Acquisition)
CV1件獲得あたりの広告費。「1件の問い合わせを得るためにいくら使ったか」を示す。
✅具体例
広告費10万円でCVが20件なら、CPA=5,000円。「1件の問い合わせに5,000円かかっている」と読めます。CPAが高すぎると広告が割に合わないので、下げる施策が必要になります。
■ROAS(ローアス)|広告費に対してどれだけ売上があったか
ROASは「Return On Advertising Spend」の略で、広告費に対する売上の比率です。
計算式:ROAS(%)= 売上 ÷ 広告費 × 100
✅具体例
広告費10万円で売上50万円なら、ROAS=500%。広告費1円に対して5円の売上が生まれた計算です。ECサイトでは特によく使われる指標で、「ROAS300%以上を目標にする」というような使い方をします。
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【分析・改善】サイトの問題を見つける用語
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■直帰率 / 離脱率|「帰ってしまった」を測る指標
・直帰率
サイトを訪れたユーザーが1ページだけ見てそのまま帰ってしまった割合。直帰率が高いと「ページの内容が期待と違った」「読み込みが遅い」などのサインかもしれません。
・離脱率
あるページを最後に見てサイトを離れた割合。すべてのページに離脱率はあるため、直帰率とは別物です。
✅具体例
トップページの直帰率が80%なら、10人来て8人がそのまま帰っている状態。ファーストビューのキャッチコピーやデザインを見直すきっかけになります。
■ヒートマップ|ページのどこが見られているかを「見える化」するツール
ヒートマップは、ページ上でユーザーがどこをクリックしたか・どこまでスクロールしたかを色で視覚化するツールです。「MicroTask(ミクロタスク)」「Clarity」「Hotjar」などが有名です。
✅具体例
「CTAボタンが下の方にあるのに誰もスクロールしていない」という問題が、ヒートマップを見るとすぐわかります。「実は誰もボタンを見ていなかった」という事実に気づいて、ボタン位置を上に移動したらCV数が増えた、というのはよくある改善事例です。
■A/Bテスト|2パターンを比べてどちらが効果的かを検証する
A/Bテストは、ページやボタンの文言・色・位置などを2パターン用意して、どちらがCVRや滞在時間などの指標で優れているかを比較する手法です。
✅具体例
CTAボタンのテキストを「お問い合わせはこちら」と「今すぐ無料で相談する」の2パターンで試す。同じ期間・同じアクセス数で比較して、CVRが高い方を採用します。「なんとなく良さそう」ではなく「データで判断する」ための手法です。
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【ページ・施策】制作でよく使う用語
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■ランディングページ(LP)|広告の受け先になる1枚完結のページ
LPは「Landing Page(ランディングページ)」の略で、広告をクリックしたユーザーが最初に「着地(ランディング)」するページのこと。縦長の1ページ完結型が多く、1つのCV(問い合わせ・購入など)に集中した設計になっています。
✅具体例
「ダイエットサプリの広告」→「申し込みに特化した縦長ページ」という流れがLP。通常のホームページと違い、ナビゲーションメニューをあえてなくして、離脱を減らす設計にするのが一般的です。
■ファーストビュー|ページを開いたとき最初に見える画面
スクロールしなくても見える、画面の一番上の領域のことです。ユーザーがページに訪れて最初に目にする場所なので、「このページが自分の求めているものか」を判断する最重要エリアです。
✅具体例
ファーストビューにキャッチコピー・イメージ画像・CTAボタンを入れるのが基本。「ここが弱いと直帰率が上がる」と覚えておくといいです。
■EFO(イーエフオー)|入力フォームを最適化してCVを増やす施策
EFOは「Entry Form Optimization(エントリーフォームオプティマイゼーション)」の略で、問い合わせフォームや申し込みフォームを使いやすくしてCVRを高める取り組みです。
✅具体例
「入力項目を減らす」「エラーメッセージをわかりやすくする」「住所を郵便番号から自動入力にする」などがEFOの施策です。フォームまで来たのに離脱されるのはもったいないので、地味ですが効果が出やすい改善ポイントです。
■コンテンツマーケティング / オウンドメディア|コンテンツで集客する手法
コンテンツマーケティング:有益なブログ記事・動画・SNS投稿などを発信することで、ユーザーの信頼を得て集客につなげる手法。広告と違い、長期的に資産として積み上がっていきます。
オウンドメディア:企業や個人が自ら運営するブログやサイトのこと。「自社で持っているメディア」という意味です。
✅具体例
「WEBデザイン 初心者 独学」で検索してこの記事に来てもらえるのが、まさにコンテンツマーケティングの効果です。広告費をかけなくても、記事が検索で上位表示され続ける限り集客が続きます。
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【顧客・関係性】ユーザーとの関係を深める用語
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■ペルソナ|理想のターゲット像を具体的に設定したもの
ペルソナとは、サービスや商品のターゲットユーザーを「実在する一人の人物」のように具体的に設定したものです。年齢・職業・悩み・行動パターンなどを細かく設定します。
✅具体例
「30代・女性・都内在住・フリーランスのライター・ホームページを持ちたいが費用感がわからない」というように人物像を描くのがペルソナ設定。ペルソナが明確なほど、刺さるコンテンツやデザインが作りやすくなります。
■カスタマージャーニー|お客さんがたどる「旅の道のり」
カスタマージャーニーは、ユーザーが「認知→興味→比較検討→購入→リピート」というプロセスをたどる流れを可視化したものです。「カスタマージャーニーマップ」として図に描くことが多いです。
✅具体例
「Instagramで広告を見た(認知)→ホームページを見た(興味)→他社と比較した(検討)→問い合わせした(CV)→継続利用(リピート)」という流れがカスタマージャーニーです。各フェーズでユーザーが何を求めているかを考えると、サイト設計の方針が見えてきます。
■リード / ナーチャリング|見込み客を育てる考え方
・リード
まだ購入・契約に至っていない「見込み客」のこと。資料請求した人・メルマガ登録した人などがリードです。
・ナーチャリング
リードに対してメールや記事などでコンテンツを届け、信頼を積み重ねて購買に近づけていく施策。「育成」という意味です。
✅具体例
資料をダウンロードしてくれたユーザーに対して、「まずは事例紹介のメールを送る→よくある悩みのコラムを送る→最後に無料相談の案内を送る」という流れがナーチャリングです。
■リテンション / チャーン率|既存ユーザーを維持する施策と指標
・リテンション
既存のお客さんが離れないよう、継続利用を促す施策のこと。「顧客維持」とも言います。
・チャーン率(解約率)
サブスクリプションなどのサービスで、一定期間に解約したユーザーの割合。チャーン率が高いほど、ビジネスとして危険なサインです。
✅具体例
月額サービスで毎月100人の新規ユーザーが増えても、50人が解約していたらチャーン率50%で事業は成長しません。リテンションのためにホームページやアプリのUX改善をする、という案件も最近増えています。
まとめ
私が一番伝えたいのは、「用語を覚えることがゴールじゃない」ということ。これらの言葉を知ることで、クライアントの課題がより深く理解できて、「このデザインにはこういう意図があります」と説明できる制作者になれます。
最初からすべて覚えようとしなくていいです。現場で出てきた用語をひとつずつ調べて、自分の言葉で説明できるようになる。それを繰り返すことで、マーケティングの視点は自然と育っていきます。