『個別の授業で面と向かっては言いにくい話をコラムにしています。ですのでタイトルも「ひとり言」。日々の指導で気づいたあれこれを綴ります。』
中学受験の指導をしていると、いろいろな「壁」に出会います。
漢字が苦手、記述が書けない、選択肢がいつも当たらない…。
そのどれをとってもなかなかやっかいな壁ではありますが、最大の難敵があるとすれば、私は迷わず「めんどくさい」だと答えます。
「この問題、やるのめんどくさいな…」「書き直すの、ちょっと…」という小さな声。
これが習慣化してしまうと、子どもは少しずつ学ぶことから遠ざかっていくんですね。
とくに国語では、「ちょっと読み飛ばしてもいいか」「なんとなくで答えちゃえ」といった身勝手な"省略"が、ダイレクトに失点につながります。
問題をよく読む、記述の答えを推敲する、設問の条件を見直す──これらはすべて「めんどう」な作業です。
しかし、それをきちんと1つずつこなせる子が、最後には合格にたどり着きます。
もちろん、誰だってめんどくさいことは嫌です。
けれどそこで、「やりなさい!」と頭ごなしに叱るのは逆効果。
「めんどくさいと思っても、一歩がんばれると強くなるね」と声をかけてあげる方が、のちのち成長につながります。
それに「めんどくさい」を乗り越える経験は、勉強以外の場面でも生きてくるもの。
だからこそ「今、ちょっとだけがんばること」を応援してあげてください。
中学受験で成功する子は、必ずしも天才タイプではありません。
「やらなきゃ」が「やろうかな」に変わり、「めんどう」なことにも地道に向き合える──そんな小さな習慣が積もり積もって大きな差になるのです。