『個別の授業で面と向かっては言いにくい話をコラムにしています。ですのでタイトルも「ひとり言」。日々の指導で気づいたあれこれを綴ります。』
選択肢問題は記述問題より解きやすい印象があるかもしれませんが、しっかり手順を踏んで解かないとポロポロポロポロ失点します。
どの参考書にも書いてあることですが、読んだ記憶で解くのは一番まずいやり方です。
なぜなら誤答のうちのいくつかは、おぼろげな記憶に訴えかけるように周到に作られているから。
"ムツゴロウ"の愛称で知られた作家の故・畑正憲氏は、学生のころ試験の前に教科書をいっぺん読み通すだけで、その内容が全部記憶できたと言います。
そういう"異能"の持ち主ならば、初見の文章を一読しただけで、ディテールの記述まで鮮明に覚えられるかもしれません。
しかし普通はそんな神がかった記憶力とは無縁でしょう。
にもかかわらず読んだ記憶を頼りに選択肢を選ぶのだとしたら、それは自ら進んで点を捨てに行くようなものです。
傍線部まで一度戻って、内容を確認したうえで選ぶ必要がありますが、時間制限の厳しさもあるため、いかに効率良く処理するかが合否を分けます。
記述問題との比較で言えば、ある傍線部が選択肢問題になっているのは、記述問題として作問するにはあまりに込み入った内容が含まれるから。
逆から言うなら、選択肢問題で正解を導けば導くほど、本文の深い読解が可能となり、記述回答の作成にも多かれ少なかれプラスに働くわけです。