国語講師のひとり言「うっかりミスはおそろしい」

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コラム
『個別の授業で面と向かっては言いにくい話をコラムにしています。言いにくいワケは、生徒さんは1人1人状況が異なり、一般論のアドバイスがつねに当てはまるとは限らないからです。
ですのでタイトルも「ひとり言」。本コラムの内容に有効性があるかと問われれば、私自身の中学受験や長年の指導で実践を心がけ、結果を出してきた事実を挙げるのみです。』
国語に限らずテストでよくあるのがケアレスミス。

答えはちゃんとわかっていたのに、設問の条件の見落としなどが原因で、×をもらってしまうケースです。

うっかりミスとも言いますが、和語だろうと外来語だろうと、問題の本質を見誤らせる点で罪深いネーミングだと思います。
「うっかり間違えただけだね。本当はわかっていたのだから、今度からは気をつけよう」
こんな風に生徒を励ますことは、はたして正しいのでしょうか?

冒頭近くで私は、「答えはちゃんとわかっていたのに」と書きましたが、これって本当でしょうか?

考察を進める前によくあるうっかりミスの例を挙げれば、①ぬき出し問題にもかかわらず文中の言葉を使って答えをまとめてしまうケースがあります。

②選択肢問題で「適切でないものを選びなさい」とあるのに、適切なものを選んでしまうミスも非常に多いです。

③一文でぬき出すべきところを、文の途中からぬき出して×になるケースもしばしば。

ほかにも字の転記ミス、「○○字以内」なのに○○字ぴったりと勘違いして空らんのままになる、脱文補充で「戻す場所の直前の5文字」とあるのに直後の5文字を書いてしまう…。

挙げればきりがないほどです。

教える側にとってうっかりミスがやっかいなのは、
「設問の条件は必ず守ろう」「条件のところに線を引いて目立たせ、確認してから解きはじめよう」
ぐらいしかアドバイスのしようがないところ。

そのせいかもわかりませんが、たんなる"うっかり"のはずなのに、いつまで経ってもミスしつづける生徒さんは少なくありません。

原因は何でしょうか?

1.制限時間を気にしすぎて、テストではいつもあわててしまうのでしょうか?

2.得点に対するどん欲さがなく、そもそも集中力を欠いているからでしょうか?

3.文章の読解で手いっぱいで、設問をていねいに読む余力がないのでしょうか?

…生徒さんによりケースバイケースとは思いますし、複数の要因が絡み合っていることも考えられます。

ただ一つ言えることは、こうして原因を考えてみると、いずれの場合も"うっかりミス"などという語感からはかけ離れた深刻な事態だということです。

1.が原因ならば、読むスピードがあるべき水準に達していないわけで、早急な改善が不可欠です。

2.が原因ならば、そもそも受験に対するモチベが低いことに。ライバルとしのぎを削らざるを得ない中学受験においては致命的なマイナスです。

3.が原因ならば、読解のレベルがまだまだ追いついていないことに。ぼう大な量の演習をこなして、理解度を底上げするよりほかありません。

いかがでしょうか?
「うっかり間違えただけだね。本当はわかっていたのだから、今度からは気をつけよう」
こんな小手先のアドバイスでは、何ひとつ問題が解決しないことは明らかですよね。

くり返されるうっかりミスの背後には、教科の習熟度や受験に対する熱意をめぐる大きな問題が横たわっています。

どのタイプのうっかりミスが、ということではありません。

どんなうっかりミスであろうと、テストのたびにしばしばくり返されるようであれば、それははっきりとした危険信号です。

できるだけ5年生のうちに問題のありかを突き止め、学習方法その他の抜本的な見直しを図ることをおすすめします。

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