国語講師のひとり言「テストとハサミは使いよう」

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『個別の授業で面と向かっては言いにくい話をコラムにしています。言いにくいワケは、生徒さんは1人1人状況が異なり、一般論のアドバイスがつねに当てはまるとは限らないからです。
ですのでタイトルも「ひとり言」。本コラムの内容に有効性があるかと問われれば、私自身の中学受験や長年の指導で実践を心がけ、結果を出してきた事実を挙げるのみです。』

若い頃編集者をしていて、コメディアンの萩本欽一さんにお会いする機会がありました。

どういう話の流れか学歴の話題になったとき、「僕は中卒」とおっしゃるので「あれ?」と思ったんですね。

プロフィールには出身高校が書かれています。その点を確認すると、「本当に高卒と言えるのは、大学受験をしたヤツだけ」とおっしゃいました。

高校は出たけれど自分は大学受験をしていない。みんな大学受験があるから、そこで初めて本腰を入れて、高校の勉強を必死に覚えるわけでしょ。

だからさ、たんに高校を出ただけじゃ胸張って「高卒」とは言えないと思うのよね。

…テレビの歴史を変えた笑いの天才は、さすが考えることが違うと思いました。

のちに73歳で大学に進学したのは有名な話。4年間まじめに授業に出たにもかかわらず、結局卒業はしなかったのもいかにも欽ちゃんらしいですね。

さて中学受験の話でした。

入試本番は入試本番。試験当日はそれまで培ってきた実力がありのまま出るだけで、そこに努力の余地はすでにありません。

そういう意味では、本番の前日までで入試は終わっているとも言えます。

だから大事なのは、あくまでふだん受けるテスト。塾の週テストや組み分けテスト、合不合判定テストや学校別のオープン模試などですね。

輝かしい栄冠を勝ち取るためにも、ふだん受けるそのテストをこそ最大限に活用しましょう!

具体的にどうするのかと言えば、話は単純。ようするにテストに備えてできる限り準備を行うんです。

欽ちゃんの教えに従えば、"テストに向けて準備して初めて、それまで教わった学習事項が身につく"ことになります。

中学受験では日ごろの学習のモチベーション維持が問題になりがちですが、テストとハサミは使いようです。

「受けなくてはいけないから」と義務感でとらえず、「テストがあるから頑張れる」と逆転の発想で向き合ってみてはどうでしょうか。

もし出題範囲が決まっているなら、それに呼応する演習問題を探してきてガンガン解きましょう。

知識の定着に不安があるなら、テキストやノートで基本的な内容をあらためてチェックし、確認問題で記憶にしみ込ませる努力が必要です。

入試本番まで何回テストがあるかわかりませんが、試験に備えて毎回どれだけ勉強できたかで勝負が決まるとすら言えると思います。

ちなみに小学生時代の私はと言えば、テストの前日は毎回不安で大泣き。

周りからしたら迷惑な話ですが、成績が下がるのが本当にイヤで、何時間も必死に復習してからテストに臨んでいたことだけは確かです。

親が「この調子では、入試本番は無理なんじゃないか」と心配していましたが、緊張の限界を超えたものでしょうか、当日はまったくの平常心で臨めました(笑)。
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