藤吉が糞尿まみれで山を転げるようにして逃げる姿を見ながら
タヌキ達は歓声を上げた。
これで少しは溜飲が下がるよ。
死んだ子供たちや仲間達も草葉の陰で喜んでいるだろうね、藤吉に妖術を掛けた、たぬきのモコが言った。
モコさんは相変わらず人間を化かすのが旨いね。
とタヌキの長老ポン太が言った。
鹿、うさぎ、とんび、モグラ、いのしし、すずめ、リス達もモコさんのお蔭で怨みが晴らせたよと言った。
これに懲りて暫く猟師たちは山に登って来ないなら良いが、
と動物達は言ったが人間は油断がならない。
きっと人間たちは仕返しに来るだろうと長老のポン太が言った。
勝って兜の緒を締めよだ。治に居て乱を忘れずだ。
しかし、それから動物たちは平穏な日々を送っていた。
草を食べたり昼寝をしたり、木のみを食べたりして猟師が来ない日々が続いたので伸び伸びと毎日を過ごしていた。
見ーつけた。あー見つかっちゃたー。今度は僕が鬼の番だね。
みんな隠れてーとタヌキの、とま君が言ったが、トンビ、カラス、イノシシ、モグラ、しか、ウサギ達は、そろそろこの遊びに飽きて来た。
だから一人抜け三人抜けして、みんな他の遊びを、それぞれやり出したので、かくれんぼの遊びは自然に終わってしまった。
子ダヌキの、とま君は兄の、りょう君と二人残ってしまったので他に何か面白い遊びは無いかなぁと兄のりょう君に言った。
りょう君は暫く考えていたが、名案アイディアが頭に閃いた。
この前さぁ、猟師をモコさんがコテンパンに化かしてやっつけた事が有っただろうと言った。
ウン覚えているよ。
其れってさぁ。あの猟師どうしているんだろうね。
大人しくしてしょんぼりしているのだろうか。
しょんぼりしているのじゃないのかなぁと弟タヌキの、とま君は言った。
だからさ、ちょっと様子を見に里まで下りて行って様子を見に行こうよと兄タヌキの、りょう君が言った。
人間が沢山いる里に下りて行く事は怖いよ危ないよと弟の、とま君は言ったが、
とま君もその後あの猟師がどうなったか興味が有る。
自然に話が纏まり二人のじゃない二匹の幼い兄弟のタヌキは二匹して里に下ったのだ。
兄のりょう君は時々長老に付いてこの里に何度か下って来た事が有った。
だから、あの猟師の家を知っていた。
こっちに行けば、あの猟師の家だぞと、もこ君に言った。
太陽は西の方へ傾きかけて西の空が茜色にジョジョに染まりつつあった。
獣道を下って来て叢の蔭から様子を窺っていた二人の子ダヌキ兄弟は、恐る恐る猟師の家に近寄って行った。
すると家の中は何やら賑やかだった。
大勢の人間の声が聞こえる。
酒盛りでもしているのかと思って、幼い兄弟タヌキはもっと家に近づいた。
声は家の中から更に大きく聞こえて来た。
それは手に取るようにハッキリと明瞭に聞き取れた。
あのタヌキの野郎、容赦しねー。
こんな事では猟師の仕事にならねー。
タヌキ達を、やっつけるのだー。
明日の朝にみんなで山に登って、タヌキ達を全部とっ捕まえるぞー!と気勢を上げている。
その声をはっきりと聴いた幼いタヌキ兄弟は、吃驚した。
これは大変だ。
早く山に帰ってみんなに知らせなくてはと思った二人は、全力で山の土手を駆け登り近道の、けもの道を全力で走ってみんなが居る山の頂上付近のタヌキ部落へ戻って来た。
大変だー!
その声に長老、モコさん他の動物達も、みんな集まって来た。
どうしたの。
今、人間の里に下りて行ったら明日の朝からみんな猟師達が山に登ってタヌキを全部とっ捕まえると計画を立てていたよ!
だから、明日の朝は人間たちが鉄砲を担いで大勢で登って来るんだよ。
これは一大事じゃと長老のポン太が言った。
此の儘、明日の朝を迎えるのは拙い。みんな殺られてしまう。
逃げると言っても他のタヌキ達のナワバリに入ってしまう。
それはそれで新は闘争が起きてしまう。
こうなったら人間と戦うしかないと長老のポン太が結論を出した。
他のタヌキや動物達も大きな異論は無かった。
こうなったら徹底抗戦だ。
みんな、陣地を作るぞーとポン太が叫んだ。