給与支払事務所等の開設届出書 完全ガイド|提出・書き方・期限・罰則までQ&Aで徹底解説

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法律・税務・士業全般

「給与支払事務所等の開設届出書」の提出はいつ?書き方・期限・罰則は?法人設立・従業員雇用時の必須手続きをQ&Aで徹底解説!提出不要ケースやe-Tax、関連書類も網羅。この記事で疑問を解消し、スムーズな手続きを。


会社を設立した、あるいは初めて従業員を雇うことになった。そんな時、提出が必要になるのが「給与支払事務所等の開設届出書」です。「いつまでに、どこへ提出すればいいの?」「書き方が分からない」「提出しないと罰則があるの?」など、疑問や不安を感じていませんか?

この記事では、「給与支払事務所等の開設届出書」に関するあらゆる疑問について、Q&A形式で分かりやすく徹底解説します。提出が必要なケースから、具体的な書き方、提出方法、期限、注意点、さらには関連する手続きまで網羅。この記事を読めば、手続きに関する不安が解消され、スムーズな事業運営の第一歩を踏み出せます。

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【基本事項】

Q1: 「給与支払事務所等の開設届出書」とは、どのような書類ですか?

A1: 日本国内で新たに給与や報酬の支払いを始める事業者が、その事実を税務署に届け出るための書類です。事務所を移転したり、廃止したりする場合にも同じ書類を使用します。

Q2: この届出書を提出する目的は何ですか?

A2: 主な目的は、事業者が給与支払いを開始し、源泉徴収義務者(給与から所得税を天引きして国に納付する義務がある者)になったことを税務署に知らせることです。この届出により、税務署から源泉所得税の納付書や年末調整関連書類が送られてくるようになります。

Q3: この届出の法的根拠は何ですか?

A3: 所得税法第230条および所得税法施行規則第99条に基づいて、提出が義務付けられています。

Q4: 源泉徴収する税金が発生しないような少額の給与でも、提出は必要ですか?

A4: はい、原則として提出が必要です。これは、税務署が納税額の有無に関わらず、給与支払を行う全ての事業者を把握し、管理するための「登録」としてこの届出を利用しているためです。将来的に税額が発生する可能性に備えたり、年末調整などの案内を送付したりするためにも、この届出が必要とされています。

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【提出が必要なケース・不要なケース】

Q5: どのような場合にこの届出書を提出する必要がありますか?

A5: 主に、法人を設立して役員報酬や従業員への給与を支払う場合(社長一人でも)、個人事業主・法人を問わず新たに人を雇い給与の支払いを始める場合(パート・アルバイト含む)、個人事業主が開業時には従業員がいなかったが後から雇用する場合、個人事業主が法人成りした場合、青色申告の個人事業主が家族を青色事業専従者として雇用し給与を支払う場合、給与支払事務所の場所を移転する場合、そして給与支払事務所を廃止する場合などに提出が必要です。

Q6: この届出書を提出しなくてもよい場合はありますか?

A6: 提出が不要となるケースとしては、個人事業主が事業を開始する際に提出する「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)の「給与等の支払の状況」欄に必要な情報を記載して提出した場合(ただし開業時点に限る)、常に2人以下の家事使用人(お手伝いさんなど)にのみ給与を支払っている個人、給与や退職金は支払わず弁護士報酬などの報酬・料金のみを支払っている個人などが挙げられます。

Q7: 個人事業主の場合、開業届を出せばこの届出書は不要なのですか?

A7: 開業時に従業員を雇用し、開業届の「給与等の支払の状況」欄にその情報をきちんと記載して提出すれば、開業時点での別途の「給与支払事務所等の開設届出書」の提出は原則不要です。ただし、これは開業時のみの扱いです。開業後に新たに従業員を雇用することになった場合は、「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要があります。

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【提出義務者】

Q8: 誰がこの届出書を提出する義務を負いますか?

A8: 法人の場合は、給与や役員報酬を支払う法人は原則としてすべて提出義務があります(役員1名のみでも)。個人事業主の場合は、従業員(青色事業専従者含む)に給与の支払いを開始する際に提出義務が生じます。ただし、開業時に開業届で届け出ていれば、その時点では不要です。

Q9: 提出義務と源泉徴収義務にはどのような関係がありますか?

A9: この届出書を提出することは、事業者が給与支払いに関して源泉徴収義務者となることを税務署に公式に宣言する手続きと密接に関連しています。届出が必要になるタイミングは、基本的に給与に関する源泉徴収義務が発生するタイミングと一致します。

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【提出手続き】

Q10: いつまでに提出する必要がありますか?

A10: 給与支払事務所を開設、移転、または廃止した日から1ヶ月以内に提出する必要があります。

Q11: どこに提出すればよいですか?

A11: 給与支払事務を行う事務所の所在地を管轄する税務署長宛てに提出します。国税庁のウェブサイトで管轄税務署を調べられます。移転の場合は、移転前の所在地を管轄する税務署に提出します。

Q12: 提出方法にはどのようなものがありますか?

A12: 提出方法には主に3つあります。一つ目は、管轄税務署の窓口に直接持参する方法です。二つ目は、管轄税務署宛てに郵送する方法です。控えが必要な場合は、コピーと返信用封筒(切手貼付)を同封します。三つ目は、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用してオンラインで提出する方法です。

Q13: e-Taxで提出するメリットは何ですか?

A13: e-Taxを利用するメリットとしては、時間や場所を選ばずに提出できること(利用可能時間内)、税務署に行く手間や郵送コストがかからないこと、法人設立時の他の届出(法人設立届出書、青色申告承認申請書など)とまとめて提出できることなどが挙げられます。

Q14: 提出した届出書の控えは保管すべきですか?

A14: はい、必ず保管してください。税務署の受領印が押された控えや、e-Taxの受信通知は、提出した証明として、金融機関での手続きや税務調査などで必要になることがあります。窓口や郵送の場合は控え用のコピーを準備し、e-Taxの場合は受信通知を保存します。

【記載内容】

Q15: 届出書の用紙はどこで手に入りますか?

A15: 国税庁のウェブサイトからPDF形式でダウンロードするか、税務署の窓口で直接受け取ることができます。

Q16: 届出書には主にどのようなことを書きますか?

A16: 主な記載項目として、提出日や提出先税務署名、事務所開設者の情報(住所や本店所在地、氏名や名称、電話番号、個人番号や法人番号、代表者氏名など)があります。

また、開設・移転・廃止年月日、給与支払を開始する年月日(開設月の翌月以降に開始する場合のみ記載)、届出の内容及び理由(「開設」「移転」「廃止」の別と具体的な理由)、給与支払事務所等の詳細情報(名称、所在地、電話番号、責任者氏名。

ただし開設者と同じ場合は記載不要な場合あり)、従事員数(役員、従業員などの区分別)、その他参考事項、そして税理士が作成した場合は税理士署名欄への記入が必要です。

Q17: 記載する上で特に注意すべき点はありますか?

A17: 記載にあたってはいくつか注意点があります。まず、「給与支払を開始する年月日」の欄は、開設した月に給与支払を開始する場合は空欄、翌月以降に開始する場合はその日付を記載するという点を間違えないようにしましょう。

次に、「給与支払事務所等について」の欄は、本店(主たる事務所)で給与事務を行う場合は記載不要となることが多い点を理解しておきましょう。支店などで事務を行う場合に記載します。

また、個人番号や法人番号は正確に記載することが重要です。法人の場合は、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を用意すると、本店所在地や法人名、設立年月日などを正確に転記できます。

【事務所の移転・廃止】

Q18: 事務所を移転したり、廃止したりする場合も、開設時と同じ届出書を使いますか?

A18: はい、同じ「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を使用します。該当箇所(「移転」または「廃止」)にチェックを入れて提出します。

Q19: 事務所を移転する場合、手続きはどうなりますか?

A19: 届出書の「移転」にチェックを入れ、移転前後の所在地、移転年月日などを記載します。提出先は、移転前の所在地を管轄する税務署です。これにより、源泉所得税の納税地が移転後の所在地に引き継がれます。

Q20: 事務所を廃止する場合、手続きはどうなりますか?

A20: 届出書の「廃止」にチェックを入れ、廃止年月日や理由を記載します。廃止した日から1ヶ月以内に、廃止する事務所の所在地を管轄する税務署に提出します。支店などを廃止しても本社が存続する場合、その支店の納税義務は本社などに引き継がれます。

Q21: 移転や廃止の際に届出を出すことは、なぜ重要なのですか?

A21: この届出は、源泉所得税の納税義務を新しい場所に移したり、正式に終了させたりするための公式な手続きです。提出しないと、税務署は移転や廃止の事実を把握できず、納税に関する混乱が生じる可能性があります。

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【提出しなかった場合の影響】

Q22: 提出期限に遅れたり、提出しなかったりした場合、罰則はありますか?

A22: 届出書の提出が遅れたこと自体に対する直接的な罰金や過料などの罰則は、現在の法律ではありません。

Q23: 罰則がないなら、提出しなくても問題ないですか?

A23: いいえ、問題があります。提出しない場合、間接的な影響やリスクが生じます。一つ目は、税務署から源泉所得税の納付書や年末調整の書類が送られてこないことです。二つ目は、納付書がないと源泉所得税の納付手続きが煩雑になり、遅延のリスクが高まることです。三つ目は、納付が遅れると不納付加算税(原則10%または5%)や延滞税が課される可能性があることです。

Q24: では、実質的な「ペナルティ」は何ですか?

A24: 届出遅延そのものに罰金はありませんが、その結果として納付書が届かず、源泉所得税の納付が遅れてしまった場合に課される不納付加算税や延滞税が、実質的な金銭的ペナルティとなります。速やかに提出することが、余計な税負担を避けるために重要です。

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【関連する手続き・書類】

Q25: 個人事業主の「開業届」とは、どのような関係がありますか?

A25: 個人事業主が開業時に従業員を雇用する場合、開業届の「給与等の支払の状況」欄(従業員数、給与の定め方、税額の有無などを記載)に必要事項を記載して提出すれば、開業時点での「給与支払事務所等の開設届出書」の提出は原則不要になります。ただし、開業後に従業員を雇う場合は別途提出が必要です。

Q26: 「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」とは何ですか?一緒に提出した方がよいですか?

A26: これは、給与を支払う従業員が常時10人未満の場合に、申請・承認を得ることで源泉所得税の納付を毎月から年2回(7月と翌年1月)にまとめられる制度のための書類です。要件を満たすなら、「給与支払事務所等の開設届出書」と同時に提出することが推奨されます。早く提出すれば、事務負担軽減のメリットを早く受けられます。

Q27: 「青色事業専従者給与に関する届出書」とは何ですか?この届出書との関係は?

A27: これは、青色申告の個人事業主が、家族従業員(青色事業専従者)に支払った給与を経費にするために提出する書類です。この青色事業専従者給与の支払いを始める際には、「給与支払事務所等の開設届出書」も併せて提出する必要があります。

Q28: これらの関連書類はどのように連携しているのですか?

A28: これらの書類(開業届、給与支払事務所開設届、納期の特例申請書、青色専従者給与届出書)は、それぞれ独立した手続きですが、給与支払いに関する税務管理システムの一部として相互に関連しています。

例えば、開業届は特定の条件下で給与支払事務所開設届の役割を兼ねることがあります。給与支払事務所開設届の提出は、税務署が納付書を送付する前提となり、その納付書は納期の特例を利用した納税手続きにも関連します。納期の特例の適用可否は従業員数に依存し、その情報は給与支払事務所開設届にも記載されます。

また、青色事業専従者給与を経費算入するには、青色専従者給与届出書と給与支払事務所開設届の両方の提出が必要です。事業開始時などは、これらの関係性を理解し、適切なタイミングで提出することが重要です。

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【その他】

Q29: 届出書の書き方などで分からないことがある場合、どこに相談すればよいですか?

A29: 届出書の記載は比較的シンプルですが、他の税務手続きとも関連するため、不明な点や複雑な状況(法人成り、複数事業所など)の場合は、税務署または税理士に相談することを強く推奨します。税理士は、個別の状況に合わせたアドバイスや手続きのサポートを提供してくれます。

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【まとめ】

今回は、「給与支払事務所等の開設届出書」について、よくある疑問とその回答をQ&A形式でご紹介しました。

この届出書は、法人設立や従業員雇用など、給与支払いを始める際に原則として提出が必要となる重要な書類です。提出期限は「事実発生から1ヶ月以内」と定められており、適切な手続きが求められます。

提出が遅れたこと自体への直接的な罰則はありませんが、源泉所得税の納付書が届かないなどの間接的な影響により、結果的に不納付加算税や延滞税といったペナルティが発生するリスクがあります。

この記事のQ&Aを参考に、ご自身の状況に合わせて必要な手続きを確認し、期限内に正確な届出を行いましょう。「源泉所得税の納期の特例」や「青色事業専従者給与」など、関連する手続きも併せて確認することをおすすめします。

もし手続きに関して不明な点や複雑な事情がある場合は、税務署や税理士などの専門家に相談し、確実な対応を心がけてください。

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