自費出版ちょっと待った!「在庫地獄で死にました」私のしくじり自費出版を告白します

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小説
くみこは激怒した。
未だにこんな手法がまかり通っているのかと。

先日メッセージが届いた。
自費出版予定だが、友人に冒頭部を読んでもらったら
まとまってなくて、読者が置き去りになる
と感想をもらった。

編集者に相談したら、
「原稿流出リスクがあるので、見せないでください」
  と言われた。

編集者がこんなにポンコツだと思わなかった。
既に契約しており、引き返せない。 

私は5年以上前に、自費出版をしているのだが、
その時の怒りが蘇ってきた。

このケースは、まだ序章である。

今回は、私が自費出版した時の話を
書きたいと思う。




1、おめでとうございます!の罠


母との死別を機に、私は本気で小説家を目指した。

公募ガイドを買って、応募できそうな賞に片っ端から応募。
とにかくガムシャラだった。


そんなある日、一通の手紙が届いた。
おめでとうございます!特別賞に受賞しました!

その文面に、私の心は躍った。

本気の執筆開始から三か月。
自分の文才が認められたようで、嬉しかった。

文面はこう続いた。
弊社より出版したいと思います。
本来80万円での案内になりますが、
特別に50万円でご提供できます
*特定防止のため、要約してます。


私は考えた。
手元にそんな大金はない。

しかし、出版など、夢のまた夢である。
それが50万円で手に入るのか…。

この機会を逃したら、出版する機会などあるだろうか?
名刺代わりに1冊あってもいいのでは?


文章を認めてくれたこの会社にお願いした方が、よいものを作れるのではないか?
が最大の決め手となり、私は自費出版を決めた。



2、度重なる違和感「こんなもんか?」


それからやり取りを重ね、創作短編集を作ることにした。

先方からの要望は一切ない。
自分の好きなようにさせてくれる。

ただし、添削指導だけは厳しめでお願いした。


添削は3回まで。上限30枚である。
本文が100ページなのに、全文見てもらえないの?

ふと疑問が浮かんだ。
しかし、契約上そうなっているので、文句も言えない。


1作30ページ程度にして、1作ずつ添削してもらった。
てにをはや「わかりづらい」ぐらいの指摘で、大きな修正指示はなかった。

「こんなもんか」と思っていたが、今ならわかる。
プロにしては、適当な添削だと。


表紙を選ぶ時、サンプルを見せられた。
素人みたいなデザインしかないな」と思った。
でもプロが作ったのだし、「これが売れるんだろうな」と思っていた。

自分はイメージ図を作り、その通りに作ってもらった。
素晴らしい出来だ。
ただ、プロが作ったにしては、しょぼいと感じた。


全行程を終え、いよいよ完成!
200冊中、50冊が献本として届いた。
初著作との対面。しかし私はガッカリした。


こんなもん?
こだわりまくった内容、こだわった表紙。
なのに、なんだか貧相で、見ていてテンションが下がった



3、なぜ自費出版社は売れなくても困らないのか?


後日「新聞に広告掲載した」と新聞コピーが届いた。
地方に住んでいたので、新聞を入手できなかったからだ。


真ん中らへんのページ、最下部の広告に
30作ぐらい同時に紹介されていた。

「私の本」ではなく、
「弊社の〇月ラインナップ」みたいな扱いだった。


一言紹介文が添えられているが、
他のものは散々な内容…。


「誰が買うんだ?」
率直にそう思った。


そして、そんな中に埋もれている私の作品を、
誰が買いたいと思うだろう。

見るからに「素人が自己満足で書いてます」感が漂うチラシを読んで…。


こんなんで売る気あるの?」と怒った。
だが同時に気づいた。

すでに私から50万という利益を得ているので、売れなくても出版社は何も困らない」のだと。
やられたと思った。


チラシ掲載は、この1回だけだった。
提携書店の配本とAmazonだけが頼りだ。


契約上の販売期間は1年
私の本は12冊売れた。
無名の素人にしては、よく売れたと思う。



4、2年にわたる在庫地獄


だがそれからが地獄だった。
在庫はどうなるのだろう」と。


当時公務員だったので、大っぴらに配れない。

3年に1度転勤があるので、そのたびに持ち歩くのか?
考えただけで地獄だった。


そんな時、また出版社から手紙が来た。
2冊目を出しませんか?
期間延長し、1冊目と併せて販促します

在庫をどうにかしたくて、私は2冊目の契約もした。


先に言うと、途中で辞めた
一部しか支払わなかったので、追加料金はなかった。


なぜ辞めたか。


延長した1年で、1冊しか売れなかったからである。
さらに在庫が増える未来が見えた。


結局、1作目は処分できた。

処女作廃棄よりも、在庫のプレッシャーからの解放で嬉しかった
それほどまでに、私は在庫に追いつめられていた。



5、今ならリスクゼロで出版できる!


もし今の私がkindleを知っていたら、絶対自費出版しなかった

・在庫なし
・費用なし
・永久に販売できる
・読まれたページごとに収益
・いつでも修正・変更可能
・読み放題加入で、読者は無料で読める


また、見る側にとってもよい

・もらった手前、読みたくないのに困る
・買わなきゃいけない
・本棚にあるけど邪魔だし売れない


勘違いしないで欲しいのが、「どこで出しても、売れる保証はない」ということ。

ただ今までは、著者が大きなリスクを負っていた
これだけで、大分出版しやすい。


本が売れるには、著者の知名度と出版社の販売力が必須

知名度がないからお願いしているのに、
出版社に売る力がなければ、結果は悲惨一択だ。


もちろん内容も重要だが、まず手にとってもらえなければ、読まれない

売れないということは、読まれないことを意味する
だからこそ、売ることが最重要になるのだ。


世の中には電子書籍の出版代行もあるが、使わない方がよい
大抵は自費出版社と同じだ。


「著者の要望を活かす」という建前で、大した編集・販促はしない。
もしお願いするなら、実績がある人にお願いしよう



6、この経験を活かして…


私は「書きたいと読みやすい」のギャップを埋め、
著者が書きたい物語を、読者に愛される作品」作りを教えている。



さらに、セールス知識と読まれる物語作りを活かし、プロデュースも添削も可能だ。


私は自費出版社を全否定するわけではない。
中には必要な人もいるだろう。

ただ、多くの人にとって、自費出版は不要だと私は考える


あなたの大切なストーリーを、その出版社に任せていいんですか?
そのことを踏まえて、自費出版を検討してほしい。


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