短編シナリオ(脚本) お題「背信」

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小説
①公園
    ゲートボールをしている老人達。その
    中に、橋本岩次郎(75)と徳井栄吉(
    75)。2人とも心を奪われたかのよう
   に遠くの人影を凝視している。
    人影、スカートを翻し近づいてくる。
 岩次郎、栄吉「…!」
    岩次郎、栄吉や仲間を押しのけ、慌て
    てステックを持ち直す。ボールに狙い
    を定める岩次郎。
    ワンピース姿の杉本彩子(35)、笑顔
   で近づいてくる。
    岩次郎、ボールを打つ。乾いた打球音
    が響き渡り、ボールが勢い良くゲート
   を通過する。
岩次郎「(振り返って)よっしゃ!」
    岩次郎、笑顔で彩子を見やるも、彩子
    と栄吉、楽しげに話している。
岩次郎「…」
   軽く頭を下げて、歩いて行く彩子。
    岩次郎、大股で栄吉の元へ近づき、栄
    吉の肩を突き飛ばす。
栄吉「あたた!痛いよ、岩ちゃん!」
岩次郎「栄ちゃん、なんだよ!二人でこそこ そと!」
 栄吉「岩ちゃん、こそこそって」
岩次郎「あの女は詐欺師の疑いがあるから相
  手にしちゃいかんって、この間寄り合いで
  決まったじゃないか。もう忘れたか?」
栄吉「彩子さんは詐欺師じゃない!ワシの事
 気遣ってくれて来てくれたんじゃ!」
岩次郎「ええ年して鼻伸ばしおって!何売り
 つけられた!」
栄吉「なにも売りつけられとらんて!来週の
 潮干狩り誘っただけじゃ!」
    岩次郎、栄吉の胸ぐらを掴んで、
岩次郎「なんじゃと、潮干狩りに!ほんで…
  来るのか?」
栄吉「うん…さっき来るって言うたぞ」
    岩次郎、栄吉から手を放し、悠々とプ
    レイに戻る。
岩次郎「ほーか、来るのか」

 ②遠浅の砂浜
    彩子の膝上までたくし上げられたスカ
   ートから白く若々しい足が伸びている
    彩子の後ろで岩次郎、アサリを捕るフ
    リをしながら彩子の足を盗み見ている
    栄吉、やって来て岩次郎の隣にしゃが
    み込む。
栄吉「…岩ちゃん」
    岩次郎、ギクリとしてスコップを落と
    す。
岩次郎「栄ちゃん!びっくりするやないか」
栄吉「岩ちゃん、ワシな身寄りがないけ、金
 なんか、そんなにいらんのじゃ」
岩次郎「栄ちゃん?何の話しかね?」
栄吉「彩子さんにさっき杖、勧められた…1
 ヶ月レンタルして10万じゃと」
岩次郎「ほれ、みろ!今流行の介護詐欺じゃ
  け!寄り合いの会長に報告じゃ!」
栄吉「いや、岩ちゃん。ワシそれ頼もう思う
  てな」
岩次郎「なんじゃと!栄ちゃん!」
栄吉「あの世にはお金持っていけんもん。ほ
  んで彩子さん、契約してくれたら一緒に箱
  根でも行こうって」
    岩次郎、思わず立ち上がって、
岩次郎「な、な、なんじゃと!泊まりか?そ
  れ泊まりか!」
栄吉「とにかく、ワシ子供も嫁もないけ、あ
  の人、そばにいてくれたら思うて」 
岩次郎「栄ちゃん、まだいけるのか」 
栄吉「いけるってなにがじゃ?」
    岩次郎、言葉を返せず困惑している。
    ふと、前方の彩子に目が止まる。
   彩子、立ち上がって背伸びをしている
    美しい彩子の横顔。
岩次郎「栄ちゃん…ワシも、その杖頼もうか
 の…」
栄吉「(立ち上がって)岩ちゃん!」
岩次郎「勝負じゃ、栄ちゃん!」
    岩次郎、しゃがみ込みスコップを握る
岩次郎「このバケツに先にいっぱいにした方
 が勝ちじゃ!」
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