突然ですが、みなさんに質問です。
「新人賞受賞のために、比喩表現はなくてはならないと思いますか?」
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さて、いかがでしょうか?
多くの方が、オリジナリティーのある美しい比喩表現に憧れていると思います。世にある小説教室も比喩表現を重視し、教材に取り入れています。……となるとやはり、新人賞対策としても必要なのでしょうか?
答えは、本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』にも収録され、新潮社主催「女による女のためのR-18文学賞」を受賞した小説『ありがとう西武大津店』が教えてくれます。なんと本作には簡単な例えはあっても、比喩表現は存在しません。
びっくりしましたか?
実は比喩表現というのは、小説自体のクオリティーを上げることはあっても、新人賞受賞のための本質的な考え方やテクニックではないのです。
では本質的な考え方やテクニック、すなわち小説新人賞の「本当の獲り方」とはいったい何を指すと思いますか――?
本ブログは、新人賞受賞に結びつかない小説を書くことをやめ、本気で賞を獲りに行く“あなた”のために書きました。
作家生活の“集大成”となる、おそらく最初で最後の新人賞攻略ブログになります。
(※以下9/29追記)
なお本ブログ、すでに多くの方にご購入いただいておりまして、本当に書いて良かったと思っております。ご購入者からは以下のような励みになるコメントもいただいております。
この場を借りて、深く御礼申し上げます。本ブログが、みなさまの創作人生を大きく変えるための起爆剤となれば作家冥利に尽きます……。
あらためまして、古宮悠と申します。
今でこそ大手レーベルの商業作家として活動し、先日も海外での翻訳出版の契約更新があったり、あるいは商業映画、地上波テレビドラマ、アニメ、オーディオドラマと脚本家としても活動していますが、そんな私もデビュー前は成果の出ない投稿生活を過ごしていました。
当時はココナラのようなサービスが存在せず、プロ作家からフィードバックをもらえる環境もなかなかありません。
何が正解なのかもわからず、自分を信じて書き続ける。応募した賞の一次選考の発表をまだかまだかと待ちわびる。誌面やHPを見て一次通過すらしていない事実に愕然とする。
「次は一次だけでも通ってみせる……」
「地方文学賞にレベルを下げたらきっと……」
本当はプロの小説家になるのが目標なのに、そうして一次通過や地方文学賞を目標に変えるなどして自分を見失っていた時期もあったり。
自分の小説と新人賞の受賞作との間に、いったいどんな差があるのか。
新人賞の受賞作はどれも受賞するに値する理由があるのはわかる。ただ、それが具体的に何なのかわからない……。
作家志望のあなたも、もしかしたらいま、そういう悩みをお持ちではないでしょうか?
本ブログタイトルは「【出版社が明かさない】小説新人賞の「本当の獲り方」永久保存版(エンターテインメント小説・ライトノベル編)」です。
新人賞下読みを兼務する現役小説家として、あるいはココナラで作家志望の方をデビューまでサポートしてきた身として、新人賞の「本当の獲り方」を半年かけて書き上げました。
過去には私の指導を受けてスキルアップを果たし、大手出版社主催の新人賞からデビューされた方が実際にいらっしゃいます。また最近は最終選考まで残ったとのご報告をDMでもらうことも増えてきました(嬉しい)。
本ブログでは新人賞受賞に直結する本質的な考え方やテクニックについて、近年の受賞作品を引用しながら10章に分けて具体的に解説しています。小説の添削依頼サービスでは部分的にしかお伝えできないプロ作家のノウハウを、本ブログ1本で網羅的に深く理解していただけます。
私が読み倒した限り、大手出版社が主催するエンターテインメント小説ないしライトノベルの新人賞受賞作は――もちろん特殊な性格の新人賞(ハヤカワSFコンテストなど)の場合は例外もありますが――基本的に10項目ほとんどすべての要素が盛り込まれていると言えます。
もちろん、商業小説というと恋愛小説もあれば、ミステリーもホラーも歴史小説もございます。それらすべてのジャンルに応用可能な、普遍的で本質的なポイントをお伝えしているので、ご安心くださいませ。
また、デビュー後も当然のように求められるスキルをデビュー前から把握することになります。プロ作家となってからも、何度も反芻するように読み返していただけると嬉しいです。
さらに本ブログを購入された方限定で、プロ作家である私が【1週間限定の特別コンサル】をいたします。ブログ販売だけだと一方通行ですが、しっかりコミュニケーションを取ってみなさんと真摯に向き合えたらと思っています。
コンサル期間は、以下の特典が無料で受けられます。
① 創作や新人賞に関するお悩み相談
② 小説原稿を読んで「応募予定の新人賞との適性判断」ないし「より適した新人賞のご提案」(3作品まで)
特典をご希望の方については、ブログ購入後にぜひダイレクトメッセージより気軽にご連絡いただければ幸いです……! コンサルの開始日はみなさまにお任せいたします。
最後に……
このブログによって、
ひとりでも多くの方の夢が報われますように……。
そして、うまいことこのブログが過去の自分に届いてデビューまでの期間が短くなりますように……。
【目次】
1.一次選考で落選する小説の大半は〈メインストーリー〉が見当たらない!
2.いくらキャラやストーリーが面白くても〈〇〇〉がなければ受賞しない!
3.キャラクターがストーリーの〈〇〇〉になっていないか?(魅力的なキャラクターの作り方)
4.小説というのは〈シーンの〇〇〉が超重要である
5.長編小説は満足感のある〈〇〇分け〉をして中弛みを防ぐ
6.主人公が〈〇〇〉ではなく〈〇〇的行動〉を取っているか
7.読者にページをめくらせる価値ある〈〇〇〉
8.〈〇〇〉で内容も書き方も変わってくる
9.地の文における〈レイヤー〉と〈〇〇〉で読者の心を掴む
10.〈テーマ〉と〈〇〇〉は似て非なるもの
1.一次選考で落選する小説の大半は〈メインストーリー〉が見当たらない!
新人賞の下読みをしていて思うのは、〈メインストーリー〉が見当たらない小説が多いという事実です。
〈メインストーリー〉と聞くと、何となく「小説の大まかな筋」くらいに思うかもしれません。が、ここではまったく異なる概念として提唱いたしますので、いったん先入観無しでお読みください。
〈メインストーリー〉は、エンターテインメント小説(ライトノベルを含む)の新人賞で結果を出すために避けては通れない要素です。またデビュー後も常に求められ続ける点からも、商業作家として必見の心得と言えるかと思います。
にもかかわらず、世にある小説教室や小説指南書で、この本質的な概念を取り上げて作家志望の方に手ほどきしているものを見たことがありません。私自身、デビュー前はたまたま応募小説にこの要素が入っていたくらいで、誰かから教わったものではありませんでした。デビューして初めて担当編集者から、この本質的な概念について説明を受けて「もっと早く知りたかった……」と悔やんだのを覚えています。
すなわち、プロ作家が無意識に取り入れている技術が〈メインストーリー〉であり、誰かが言語化しなければそれを作家志望の方に伝えていくことはできないということ。そこで、第1章は私がこの概念を〈メインストーリー〉と名付けてお伝えしていけたらと思います。
前置きはここまでにして、さっそく〈メインストーリー〉が何なのかについて説明に入りたいと思います。
繰り返しになりますが、「小説の大まかな筋」=あらすじのことではありません。あらすじは小説全体の内容を面白くかいつまんで書いた、要約的なものです。それは当然どの小説にも存在します。しかし〈メインストーリー〉は、作家が意図して生み出すものです。
〈メインストーリー〉とは、「誰が(何のために)何をするか」という、物語を突き動かしていくキャラクターの主体的な行動の軸です。この軸を頼りに、あらゆるシーンや展開が作られていきます。逆に言うと、〈メインストーリー〉がない小説は、あらゆるシーンや展開が行き当たりばったりなので、簡単に見抜くことができてしまいます。
例えば、第7回小松左京賞最終候補となり、出版後現在に至るまで多くのファンから愛され続ける伊藤計劃『虐殺器官』のメインストーリーは、